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2015 BEST DISC

【ALBUM/SINGLE】
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HUNEE『Hunch Music』(Rush Hour)
DJ PAYPAL『Sold Out』(Brainfeeder)

CARRE『Grey Scale』(MGMD)
Dr.YEN LO『Days With Dr.Yen Lo』(Pavlov Institute)
RYUTist「Winter Merry Go Round」(柳都アーティストファーム)
LUKE VIBERT『Bizarster』(Planet Mu/Meltingbot)  
DOMENIQUE DUMONT『Comme Ça』(Antinote)
キッチンアイドルありす『World Kitchen』(春民レーベル)
VINCE STAPLES『Summertime '06』(Def Jam)
3776『3776を聴かない理由があるとすれば』(Natural Make)
KEITA SANO「Keita Sano」(Discos Capablanca)
レミ街『フ ェ ネ ス テ ィ カ』(Thanks Giving)
CONFORCE『Presentism』 (Delsin)
星野みちる『You Love Me』(High Contrast)
FLYING SAUCER ATTACK『Instrumentals 2015』(Domino)


【RE- ISSUE/COMPILATION】
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I.B.M.『From The Land of Rape and Honey 〜The Suppressed Tapes〜1995-2005』(Interdimensional Transmissions)
GIGI MASIN『Wind』(The Bear On The Moon)
V.A.『直島ミュージック作品集』(リクロ舎)
SUBURBAN LAWNS『Suburban Lawns』(Futurismo)
TRIBO MASSÁHI『Estrelando Embaixador』(Goma Gringa Discos/Disk Union)

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Best Long-Play 2013(((Side-B)))

10:A$ap Rocky『Long.Live.ASAP』(Polo Grounds Music/ソニー)
前にも書いたが、俺にとってのヒップホップとはラップのフロウとビートで頭がガンガン振れるものというのが基準なんですよ。小難しい事はさておいてという感じ。バッキバキでしょう、これ。ニューヨーク出身にもかかわらず、南部ヒューストンのスリー6マフィアの背骨を抜いたかのようなサウス系トラックの連打。ゆえに苦手なスクリレックスが参加した曲もすんなり聞けたりするのだろう。特に素晴らしいのがフレンドゾーンが提供した「Fasshon Killa」だろう。フッワフワでトロットロなチルアウト・トラックに、クサの甘ったるい口臭さえ感じられるロッキーのラップ。発売時期が昨年末だったので泣く泣くランキングから外したウィズ・カリファのアルバム(傑作!)と共に抗えない一枚。

09:RP Boo『Legacy』(Planet-Mu/メルティングボット)
 「この世にはジュークとヒップホップさえありゃあ、それでいいのではないか」と妄言を吐きたくなるぐらい、ここらへんのアルバムはハズレが無かった。というわけで、同じシカゴのDJラシャド、EQ・ホワイ、K・ロッケのアルバムなども最高だったが、本作のリード・トラック「Speaker R-4」の最小限の音数で作られたミニマルなグルーヴ感がPV共々素晴らしくこれを選んだ。そして、さらに言えば3曲目の「Red Hot」でライク・ア・ティムの「Sonic Boom」をサンプリングしてる所にもグッときた。ロッテルダム出身でシカゴ・ハウスや初期のデトロイト・テクノ、そしてウルトラ・マグネティック・MCズなどのミドル・スクール系ヒップホップに影響されたという彼の曲をサンプリングしてると言う事は、とどのつまり「ハウスとヒップホップ」なジュークのルーツともリンクするのではないかと思ったり……。

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08: Drake『Nothing Was The Same』(Cash Money/ワーナー)
「ハードコア・パンクのライブでしょっぱなにドラマーがジャーンとシンバルを叩く、その瞬間が一番素晴らしい」と言ったのが、昔の山塚アイだったか、まだUGマンのヴォーカルだった頃の河南ユージかは忘れたが、僕にとってドレイクの新作はまさにそういうものである。再生ボタンを押すとフェイドインしてくるピッチを落とし逆回転させたボイス・サンプルのループ(ネタはホイットニー・ヒューストンの「I Have Nothing」)。そこにドラムループが足され、ドレイクはラップする。日本盤の対訳では要約するとこんな感じ→「俺の前作のアルバムは2千万枚売っちゃったよ、すげえだろ」。単なる自慢話じゃねえか! でも、このうえなく美しい。正直、その「前作」の方がいいかなと思う所もあるが、それでもこの「瞬間」だけですべてを持って行かれる。

07:Stagnation『Live Terronoize』(Strong Mind Japan)

もう10年近く前の話だが、アブラハム・クロスのフライヤーに「Radio Boy≒Disorder」と書かれていた事がある。レディオ・ボーイはハーバートによるメッセージ性の強いサンプリング・ミニマル・ハウス。ディスオーダーは言わずと知れたイギリスのハードコア・パンクの先駆的バンドのひとつだ。ヴォーカルのソウジロウにその意味を訊いたが、笑って答えてくれなかった。もし、その無言の笑顔の向こうを無自覚に体現する者が、このスタグネーションだとしたら? と今にして考えている。本作は2012~13年のライブから2編収録したものだが、ここで追求されているのはドレイクの項でふれたハードコア・パンクの刹那的な瞬間性ではない。むしろ、彼らは曲間を開けない事によって、現代音楽的に複数の曲を一つの組曲として成立させていたイギリスのハードコア・バンド、アンチ・セクトを介して、無自覚的にカンやノイ!、PILのように各パートがフレーズを延々と反復させることによって起こる何かを求めているのではないかと思っている。また、「ファズ」としてメンバーに名を連ねているのが、かつてDJとハードコア・バンドが共演するイベントに、アブラハムやストラグル・フォー・プライドらと共によく出ていたデコンストラクションにいたノザキだったというのも驚きだった(どうも2008年ぐらいには既に参加していたらしい)。それゆえか、彼らが主催する企画<Violent Party>で初めて生の音を体験した時、ハードコア~クラスト・パンクの文脈にあるものだが、同時に(あえて「今さら」ながら)ハウス/テクノ以降のダンス・ミュージックとも交差するのではないかと思ったぐらいだ。彼らの盟友的バンドの一つであるイステリスモの『Follia Verso L'Interno』とともに、そういう風に曲解したい一枚。

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06:Earl Sweatshirt/Doris(Tan Cressida)
オッド・フューチャーがブレイクするなか、素行問題で大学教授の母親にサモアの更生施設に入れられていたという彼の真の魅力を感じたのは、ミックステープ『Earl』ではなかった。むしろ復帰してから。それがマック・ミラーのセカンド『Watching Movies With The Sound Off』で、アールがプロデュースした1曲目の「The Star Room」だった。ネタはわからないが、サイケデリック・ロックをカットしてループしてリバースしたりスクリューさせたような、というかそれ以外の何物でもないトラック。そこに僕は狂気を感じたのである。本作はその狂気をふんだんに堪能させてくれるものだ。あらかじめ決められたように精度が狂ったループを重ねただけというトラック、バランスを失ったミキシングはかつてのスペクターやセンセーショナルみたいなワードサウンドの作品を思い起こされる。だが、ここにかぎかっこ付きの前衛もILLもない。それは単純にそのトラックに当てはめただけのような意味がないリリックも含め兄貴分のタイラー・ザ・クリエイターが生み出すものと共通する、ただただチープさが生み出す粗暴な音像だけが耳に残る。アルバムの出来として考えたら、マック・ミラーの方がいいと思うのだが、ここはあえて「だけ」しか追求できない様なアールの本作を選んだ。

05:Shifted/Under A Single Banner(Bed Of Nails)
ミニマル~インダストリアルの動きが面白いのは、従来のシカゴやデトロイトといったテクノの文脈だけではなく、ノイズやドローンといったアヴァンギャルドとされている文脈がごっちゃになり始めてる事だろう。このシフテッドはそのひとつの象徴と言えるかもしれない。前作はUKテクノのベテラン、ルーク・スレイター主宰のモート・エヴォルヴァーからで、本作はプルリエント~ヴァチカン・シャドウほかのドミニク・フェルナウが、ホスピタル・プロダクションとはまた別に設立したテクノ(?)レーベル、ベッド・オブ・ネイルズ。またアレキサンダー・ルイス名義ではブラッケスト・ブラック・エヴァーからインダスノイズドローンなアルバムを……という感じで、それほど派手な動きではないが、前述の文脈が交錯した点にいる人なのだった。単に動向だけではなく、本作の内容も素晴らしい。キックとハイハットとストレンジな電子音とそのくぐもった質感だけで全編押し切って行く様なミニマル・テクノなのだが、もう飽きましたとばかりにブチっと切れて曲が終わると、また違うシーケンスの反復が始まるといった具合。特に7~8曲目の「Contact 0」からアンビエント風の「Story Of Aurea」への切り替わりは何度聴いてもハッとする。

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04:星野みちる『星がみちる』(ハイ・コントラスト) 
プロデューサーであり作曲編曲家のリチャード・アンソニー・ヒューストンの覆面ユニット、ラー・バンドが放ったヒット曲「Clouds Across The Moon」。そのヒットから10年後の95年8月、電気グルーヴの砂原良徳が自身の初のソロ・アルバムでカヴァーし、クボタタケシが
が作詞、そしてクボタと藤原ヒロシが共同で作曲と編曲を手掛けた、Yuki from O.P.D(当時、大阪パフォーマンス・ドールの武内由紀子のソロ名義)の「夢のWeekend」では大々的にサンプリングされている。もちろん、制作時期や当時の人脈図からみるに、その被りは偶然なのだろう。前者のセンスはトラットリアから、ライナーノーツに砂原、常盤響、小山田圭吾の対談を掲載されたベスト盤が発売され、その文脈でキッチリと消費された。では、アイドルの楽曲と言う事もあってか、さほど話題にならなかった(少なくとも後年まで僕は全く知らなかった)後者のセンスとは一体どこに落とし込まれたのか?  元AKB48の星野みちるをDJのはせはじむ、マイクロスターの佐藤清喜が共同プロデュースした本作こそ、その10数年越しの答えだったのだ──なんてのは言い過ぎだろうか。それはともかく、まさにクラウズ・アクロス・ザ・ムーン歌謡としか言いようがない「私はシェディー」~「オレンジ色」、そして同曲のダブ・マスターXによるダブ・ミックス。そして覆面ユニット、アボジー&ベリジー(正体は戸川純と三宅裕司)の名曲「真空キッス」のカヴァーという3~6曲目の流れが本当に素晴らしい。

03.Danny Brown『Old』(Fool's Gold/ディスクユニオン)
唇の端からヨダレが垂れてそうなダラけたルックス。そして、ラリラリで何を言ってるんだかわからないラップのフロウ。なによりリード曲は「ODB」。そもそも地元デトロイトでハウスDJをやっていたという父親から、ウータン・クランを教えてもらったというのがラッパーになるキッカケということからか、故オル・ダーティー・バスタードの後継は自分であることを強く打ち出したダニー・ブラウンの本作は、UKの「IQが低そうなマッドリブ」ことポール・ホワイト(今、手前勝手に名付けたので真偽は知らない)を中心にしたトラック・メイカー達が繰り出す、ブーンバップはもちろん、サウスやトラップ、果てはグライムまで取り入れたたものの消化不良のまんま排泄した様なトラックに、前述のラリラリなラップでビートの隙間を踏みまくった文字通りのウルトラデカShit。

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02:KOBerrieS♪/流星☆トランジスタ(Kobe-Pop Culture Project)
アイドルとは大人がお膳立てするものである。よねざわやすゆきや古白川誠らが作る情景がすぐに浮かぶような言葉とこことここのコードを抑えとければ絶対だと確信したような作詞・作曲。それをちょうど良い感じのパワーポップ、ハウス、メタル、歌謡ディスコ風にアレンジメントする土井淳。しかし、彼らの仕事はあくまでここまで。なにより重要なのは主役である女の子たちのアイドルらしい清涼感のあるヴォーカルだ。インディーのアイドルには珍しいしっかりとしたミックスとマスタリング。そしてメンバーの住吉郁恵のイラストを配置したアートワークもこの音楽とコンセプト・アルバムとしての完成度を高めている。本作は神戸のローカル・アイドル、コウベリーズのファースト・アルバム。この上なく優れた3分間基準の軽音楽。

01:Kanye West/Yeezus(Def Jam) 
DJのカット・ケミストがヒップホップ視点で、フランスのポスト・パンク〜ノイズ・インダストリアル・バンドであるヴォックス・ポップとパシフィック231を編纂したコンピ『Funk Off』を個人的に2013年の最重要盤の一つだと思っているが、カニエの本作も「超人気コンシャス・ラッパー待望の新作!」というより、そのヒップホップとアヴァンギャルド(主にコラージュと言う方法論を用いた現代音楽や電子音楽を含めた総称として)のつながりとして、捉えた方が正しいのではないかと思う。ラップ/ヒップホップ・ミュージックの名の下、アシッド・ハウス、EDM、ソウル、ディスコ他が融合することなく単なる断片として提示されているような作りだからだ。ちなみにカニエの近作『808's & Heartbreak』や『My Beautiful Dark Twisted Fantasy』は自身が主宰するグッド・ミュージック所属のキッド・カディのアルバム『Man on the Moon』シリーズを下敷きにしてる節があり、本作のインダストリアルでウィッチハウスな錆び沈んだ音響は、一足先に出たカディの『Indicud』(これも良いアルバム)に似ているが、カニエと制作のリック・ルービンはさらに踏み込んでしまった。トラックメイカーであるダフト・パンクもハドソン・モホークもノーIDも88キーズも誰も自分の作ってるものがどうなるかなんて分かってないまま出来上がってた気がする。無色透明のアートワークから想起したということもあるが、これはファウストのファースト・アルバムから強い影響を受けたのではないだろうか。ゲーテ(もしくは手塚治虫)の『ファウスト』と言えば、平たく言ってしまえば、神との賭けから悪魔が一人の人間を誘惑・翻弄していく物語だが、それに無理矢理こじつければ、アルバム・タイトルがイエス・キリストとジーザスを掛け合わせた造語なのも単なる偶然ではないのかもしれない。LL・クール・Jが「I'm Bad」なら、カニエこそ「I'm God」でいいかしら? いいとも!!!(たぶん)

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Best Long-Play 2013(((Side-A)))

20Rashad BeckerTraditional Music Of Notional Species Vol. I(Pan)
小杉武久がマイクに紙をかぶせグチャグチャと丸める。それにより巻き起こるノイズ。やがてステージの袖に戻った小杉がそのぐちゃっとした紙の塊を鑑賞している、という映像を見た事がある。ダブプレート&マスタリングのミックス/マスタリング/カッティング・エンジニアとして、ハウスやテクノを中心に多岐の音を手がけた(その初期には砂原良徳や石野卓球も)職人、ラシャド・ベッカーの処女作は、それらが内包するあらゆるグルーヴの層をグチャグチャにして泥団子よろしく捏ねられ固められただけのような塊。このレーベルらしい素晴らしいジャケのアートワーク、盤に至るまで隅々までなめまわすように鑑賞すべし。

19blue marble『フルカラー』(乙女音楽研究社)
実はこの人達についてあんまり良く知らないのだが、筒美京平やバート・バカラックのような職業音楽家たちが他の歌手に提供した商業音楽としての歌謡曲~ポップスと、それとは逆ベクトルのプログレッシブなチェンバー・ロックを軸とした前衛で雑多な音楽への敬意が溢れ出していて素晴らしい。ユニットの形態というか在り方としてはピチカート・ファイブを意識してると思われるが、本作でフィーチャーされたヴォーカル、武井麻里子の声とルックスを見る限り、野宮真貴ではなく、初代の佐々木麻美子かと思われる。


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18Anton ZapWater(Apollo)
17
Basic HouseOats(Alter)

とにかくミニマル、ってならいつの年だってそうなんだけど、今年はイアン・プーリーの6年ぶりのアルバム『What I Do』、もしくはホアン・アトキンスとモーリッツ・フォン・オズワルドの『Borderland』などのベテラン勢、そしてNYRVNGから出たマキシミリオン・デンバーの『House Of Woo』、 そしてこのアントン・ザップ。その4枚が逡巡していた。最高に気持ちいいものをその中から選びました。それを成熟と呼ぶなら、オパール・テープス主宰者、 ステフェン・ビショップのメインユニットの本作は、インダストリアル・ミュージック、ドローンという側面からそのテクノやハウスの持つグルーヴ感を徹底的 に劣化、腐蝕させていったもので、極めていびつなグルーヴ感が素晴らしかった。人間オギャーッと生まれたら、あと腐るだけ。このテのやつだとハクサン・ク ロークの『Excavatio
n』デムダイク・ステアの片割れ、MLZことマイルスのソロ作『Faint Hearted』。V/VM名義その他でエイフェックス・ツインを偶像化して皮肉ったり、ポールの偽者に成り済ましてミニマル・ダブをコケにしていたジェームス・カービーの変名、ザ・ストレンジャー『Watching Dead Empires In Decay』といった、モダーン・ラヴ勢も相変わらず良かったが、前者はともかく、後者までいくともはや腐れ外道である。

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16V.A. 『音のエスペランサ』(Hakanairo)
やけのはらと話していて、彼の新作アルバムのタイトル『Sunny New Life』が思い浮かばなかったのは、僕の脳みそのなかでそれがすべて文字面ではなく、ジャケットのアートワークと音に置き換えられたからだ(という言い訳)。在知、真美鳥ulithi empress yonaguni san、 リン・エリック、あみのめといった未知の人たちが参加し、各アーティスト制作のアートワークによるライナーも付属したオムニバスである本作もまたそういう ものだ。レコードに針を落とすとボンヤリと消え入りそうな音。やがてアームがあがり、僕は盤をひっくり返す。そしてまたボンヤリと……。本作は前述のやけ のはら、そしてインクやライといったRBの人たちのアルバムとともに個人的に心象だけに訴えるものだった。

15KAThe Night's Gambit(Iron Works)
90s
といってもビートの強度ではない。本作は単なる「黒っぽさ」だけではなく、ウワモノだけをちょんぎってひたすらループしたようなスティーブ・ライヒやジョン・ギブソンの様な室内楽ミニマル・ミュージックにも似た静謐感をも感じさせる。浜松のトラック・メイカー、ブラックCZAのブレンド集とともにイルでドープでけっこうけっこう8

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Fla$hBackSFL$8KS(FL$Nation & Cracks Brothers.Co.Ltd/Jazzy Sport) 

レビューを書いた後、キッド・フレシノのアルバムを聴いた。よかったのだが、やはりこちらを手に取る確率が多い。

13hanaliROCK MUSIC』(Terninal Explosion
人間はお 互いがお互いなんかを理解し得ない。六本木のスーパーデラックスでの豆柴響のゴルジェ・プレイで、フロアがザ・クラン プスの精神病院ライブのようなアナーコ状態になっていた光景でそんなふうに思った。ウィー・アー・ビーイング・ディファレント。ゴルジェとはかつての鹿コアを思わ せるベース・ミュージックのデッチアゲ的サブ・ジャンル。日本におけるその第一人者であり、もともとは即興音楽家だったハナリこと土岐拓未による本作は、そのデッチあげられた偽物が本 物とされる正当な文脈に食い込む瞬間をとらえている。

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12BELLRING少女ハート『BedHead(クリムゾン印刷)
現在は7人 組として活動するベルリン少女ハ―ト、略してベルハー。その特異な楽曲群の形容詞がプロデューサーである田中紘治言うところの「サイケデリック」と「プロ グレッシブ」とするならば、それは単純にジャンルを指す言葉ではなく、阿鼻叫喚と混沌を指すのだろう。藤本卓也とアモン・デュールとオフマスク00の不吉な出会い。楽器・ヴォーカル問わず、すべてのチャンネルでしゃにむにエフェクトかけて歪ませたような奇怪な音像は、マイ・ブラッディ・ヴァレンタインの愛なき世界さえ思い起こさせる、ミキシングですべてを刺々しくしたポップ・ミュージック・記録ブツ。

11.Pusha TMy Name Is My Name(Def Jam)
兄のノー・マリスとのユニット、ザ・クリプスのプッシャ・Tがやっと出したソロ・ファースト・アルバム。カニエ・ウェストが制作に関わっている1曲目「King Push」と2曲目の「Numbers On the Boards」。とにかく、この冒頭2曲だけでオールOK。 クリプスの名盤セカンド『Hell Hath No Fury』で、ネプチューンズのファレルが作り上げたスッカスカな電子音とリズムの饗宴が今、またここに。個人的にはそこがたまらない。

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PUNKUBOI NEW ALBUM!!!

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PunkuboiSiNE
『AutoTune』
■CD / 2,100yen (taxin) / WIOC-9723
■Label : WORD IS OUT!
■Release Date:2012.10.24

AMAZON

TOWER
HMV
DISK UNION

永遠のロンリーネスな一人パンクバンド、プンクボイ。そしてダブパンクバンド、SiNEがまさかの合体! そしてまさかのアルバムリリース! しょうもない世界に向けて、広義のハードコアとジャンクを通過したかのようなRAWパンクロックが適当に炸裂する!! でも、どこかポップでファニーです(極私的意見) 

Punkuboi Information 2013

((((( Live )))))

2013年4月12日(金)  小岩BUSHBASH
『COPSDARTS』
w/FOLK SHOCK FUCKERS、The POPS、ED WOODS、
CLASICKS、kumagusu
■open 19:00/start 19:30
■adv1500yen / door1700yen(+1drink order)
*プンクボイシネとしてはラスト・ライブ
 








((((( Just Fuckin Noise )))))

PUNKUBOI TWITTER


((((( Others )))))

『METEO NIGHT DVD』
2010.08.03 OUT!!!
Less Than TV/ch-70 / 1050yen(in tax)
METEO_DVD_jacket
『LIVE AND THE EVIL TELEPHONE Vol.2』収録の
駒沢通りゲリラライブの別バージョン収録!


2010年5月30日(日) PM8:00~8:30

 『Live Music Show CAPTURED LIVE!』 (VINCENT RADIO)

MP3 ARCHIVE

SMACK (WEB MAGAZINE)
INTERVIEW


((((( Now On Sale )))))

Breathing OK
(CD-R/PRE-001/2007.4.8発売)
BREATHING-OK.jpg 
全19曲収録  定価:1200円(税抜)
*売り切れ/廃盤

LIVE AND THE EVIL TELEPHONE Vol.1
(DVD-R/PRE-002/2008.8.17発売)
punkudvd000
●約30分収録(特典映像あり) 定価:1000円(税抜)

LIVE AND THE EVIL TELEPHONE Vol.2
(DVD-R/PRE-003/2008.12.12発売)
PUNKUDVD2
 
●約40分収録 定価:1200円(税抜)

■通販ご希望の方は、お近くの郵便局で払込書をもらい(局員さんに訊けばわかると思います)、 郵便振替で、【00100-1-259996  加入者名・レコーダー】に商品代金分(税・送料サービス)を振り込んで下さい。 なお入金からお届けまで10日から2週間みて下さい

★主要取扱店(在庫の有無は各店に直接お問い合わせください)
ディスク・ユニオン タコシェ(中野)  円盤(高円寺)
RECORDSHOP BASE(高円寺)  バサラブックス(吉祥寺) 
 
模索舎(新宿)  PERCEPTO MUSIC LAB(静岡) 
NGOO USELESS SOUND PIT
(四日市)   RECORD SHOP ANSWER(名古屋)
PLASTICA
(福岡)

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打ってほしいところに打つビート、踏んでほしいところに踏まれる言葉

気温39度近くまで上った蕩けそうな真夏の日の夜中、「話題になってる」ということだけを知っていたヒップホップ・グループ、フラッシュバックスを池袋のライブハウスで観た。DJのキッド・フレシノはその小柄な体を大きく揺らしながら、適度なポイントでスクラッチ/カットしながらCDJからトラックを流す。その間を縫うようにMCのヤングメイソンことフェブとJJJがラップしながら飛び跳ねる。打ってほしいところに打つビート、踏んでほしいところに踏まれる言葉。それに頭と体を揺らしてたら日本語ラップに詳しい友人が耳打ちをしてきた。

「今までさ、様々な先達がいかに日本語でスムーズにラップするかを追求してきたわけじゃない? でも、この人たちがそれをスルってやっちゃったわけよ」

僕はその歴史についてなんとなくしか知らないし、その意見が正しいのかはわからない。再び目の前で軽やかにライヴする、自分より遥かに若い2MC&1DJを見る。いわゆる「ウマい」とはこういうのを指すのだろう。でも、ジョーズ、ヘタなんてどうでもよかった。そのトラックとラップのフロウが、ただひたすら気持ちよかったからである。

彼らのアルバムは2枚組LP版を買った。物販でそれしか売ってなかったから。でも、これが正解だったように思う。CDとは違うレコード向けのマスタリングが施されているようで、マッドリブやJ・ディラのプロデュース曲のようにどこかアンバランスでくぐもった部分がより強調されて聞こえるからだ(聴き比べたわけではないけど)。

基本は90s、サンプルのループ・ド・ループ。唐突に入る狂ったような電子音のシーケンス。その一音一音の隙間を縫うようにもしくは埋もれるように発せられるラップのフロウ。そのすべてが魅力的だ。本来ならば歌詞カードが付いてるんだから、リリックについて触れるべきなんだろうが、それを解析して文章化する能力が恐ろしく欠如してるので、ラップとトラックがお互い分離しながらも無理矢理溶かしてるようなトータルな音像としての気持ち良さを個人的にはとりたい。

ちなみに本作の制作時にはまだ参加していなかったフレシノのソロアルバムはまだ聴いていない。今はもう少しコレだけ。レコードの溝に針を落とすたび、ただ、音の冷たい快楽性だけを感ず。


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Fla$hBackS
『FL$8KS』
(FL$Nation & Cracks Brothers.Co.Ltd/Jazzy Sport)

霊的な熱帯雨林が産み出す気配は人を虜にする

例えば、20年近く愛聴している、元・スペースメン3のソニック・ブーム率いるスペクトラムの1stアルバム『Soul Kiss(Glide Divine)』。この上なくポップで美しい歌ものの1曲目の「How You Satisfy Me」が終わると、あとの2曲目以降はその曲の残響音で作られたようなサイケデリック・アンビエントが延々と最後まで続く。

もう一つ。最近中古で買ったルーク・ヘスの『Keep On』。ムーディーマン以降、つまりセオ・パリッシュ、オマー・Sらへと連綿と続くデトロイト・ハウスの血を受け継ぎ(まさにキープ・オン!)ながらも、そこにミニマル・ダブの要素を入れ込んだようなアルバムである。ラスト12曲目、「Inheritance」が終わると無音状態になり、やがてモヤッとしたドローン・サウンドみたいのが何分か響き、唐突に終わる。

この2枚のアルバムに共通して感じるのは、一つの楽曲、それが集まったアルバムが再生し終了した後に残る余韻、そして何よりも「気配」だ。ホスピタル・プロダクションから79本限定でリリースされたというカセットを12インチEP化した、レインフォレスト・スピリチュアル・エンスレイヴメント(以下、RSE)の本作はまさしくその「気配」だけで出来ているようなアンビエント・ドローンである。しかし、それは前述のように楽曲や盤そのものから派生しているというよりも、RSEの首謀者であるドミニク・フェルナウの一連の活動がその元となっているのではないだろうか。

ハーシュノイズとインダストリアル・ロックを行き来するプルリアントをメインに、脅迫的に反復するリズムとピープー鳴ってるシンセがかつてのミニマル・テクノを思い起こさせるヴァチカン・シャドウ。また、ジョイ・ディヴィジョンを現代によみがえらせたような(そんなの腐るほどいるが)コールド・ケイヴの他、アッシュ・プールというブラック・メタル・バンド、ザ・ニュー・ブロッケイダーズのリチャード・ルペナスを中心とした不定形ノイズ・ユニット、ニヒリスト・アソルト・グループなどへの参加など、多岐のジャンルへ跨がって活動する彼だが、いわゆる「ジャンルの壁を破壊しよう」みたいなものは感じない。むしろ、その壁を感じながら、持てるだけの自分のヒマと財力(前述のホスピタル・プロダクションはドミニク主宰のレーベル。音楽性も前述のようなこんがらがり具合を反映している)で、その時々にそれぞれの文脈やセオリーに忠実にやりたいものをやってたら、結果論としてそうなってしまった感じだ。

プルリエントは数年前に出た『電子雑音』最終号でのアメリカ新世代ノイズ特集で取り上げられたりしてたので知ってはいたが、個人的に彼の音楽をきちんと聴きだしたのはヴァチカン・シャドウが騒がれだしてからなので、実は最近。しかも、そのほとんどが限定盤で聴こうにも聴けないものも多い。だから、ドミニク・フェルナウが作り出す音楽についてデカい口も叩く資格もないのだが、それでも言いたい。

ジャンルは融合しない。常にチグハグとして線を引かれた上で、お互いを睨みつけながら差異化する。
その軋みから生まれる不協和音、それこそがドミニクがRSEとして醸し出す気配の正体なのかもしれない。

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Rainforest Spiritual Enslavement
「Black Magic Cannot Cross Water」
(Blackest Ever Black ‎– BLACKEST015)

シャッフルマスター・カナモリの夢は夜ひらく

 「90年代後半、日本のテクノシーンを牽引した重要人物の一人、DJシャッフルマスターが復活、カナモリ名義でアルバムを出す! 」という報に、かつてはテクノ専門学校生(ただし中退)だった僕も色めき立った一人だ。しかし「いやあ、彼の曲を聴くのは久しぶりだなあ」と記憶を辿った時、ある事実に思い至ったのである。

「俺、シャッフルマスターの曲、ちゃんと聴いたことないかもしんまい」

そうなのだ、聴いたことないのだ。DJプレイも聴いた覚えがない。カナモリがDJシャッフルマスターとしてブイブイ言わせていた時期は、僕のテクノ熱は下がっており、(前にも書いた気がするが)アレック・エンパイアの来日時に共演していたメルツバウのライブ、もしくはガバDJとハードコアのバンドを突き合わせていたイベント「マーダーハウス」などを通じて、U.G.マン、スライト・スラッパーズ、メルト・バナナなどのライブを見て、わけもわからずにそっち関係に興味を持ち始めた時期に当たるから。

ただ、彼が参加していたレーベル兼ユニット、サブヴォイス・エレクトロニック・ミュージックは本当に好きだった。特に「Vampirella」は今でも色褪せないジャパニーズ・テクノのクラシックだと、紫のカラーレコードに針を落とすたびに思う。しかし、10年以上経ってから知ったが、実はこの曲は相方の佐久間英夫によるものらしい。となると、旧『エレキング』で本名の金森達也名義で書いた、クリスチャン・ヴォーゲルへのインタビューを軸にしたシカゴ・ハウスの記事が素晴らしいけど、音楽そのものじゃないからなあ……。

それはともかく、2枚組LP+(同内容の)CDというフォーマットで発売された本作。いざ聴いてみると、ミニマルという軸は変わらないが、アフリカン・リズムにダブっぽい音響処理、かつインダストリアル、ドローンな質感を混ぜ合わせたような、まさに今っぽいといやあ今っぽいエクスペリメンタル・テクノ。とはいえ、B面の「Vento Soffia Da Est,Una Sera Di Tokio」のアシッドなベースラインに、サブヴォイスのライブPAで、実機のTB-303をけたたましく鳴らしたあの響きを思い出したりも。

「今っぽさ」へのベテラン組のアプローチという点で言えば、前述した流れのダークホース的なレーベルのひとつ、NNAテープスからリリースされた、サージョンことアンソニー・チャイルドが自身の未発表曲を再構築してドローンに仕立てた『The Space Between People and Things』。もしくはNYで303/606/909をシンクさせてポスト・ハードコア(テクノ)〜プレ・ハード・ミニマル……要はX-103みたいな直情的なテクノをカマしていたX-クラッシュの片割れ、アダム・Xがよりそっち方向によりブレたADMX-71名義の『Second System』とも共振すると思う。

しかし、本作はサージョンともアダム・Xの最近の指向とはどこか違う。その異化作用を高めているのは、カメラマンの星玄人が90年代の歌舞伎町や黄金町、西成といった街の夜行性の生き物たちの蠢きの瞬間を捉えた写真を、石黒景太がデザインしたゲートフォールド仕様のジャケットおよびブックレットであろう。写真自体は90年代に撮影されたもののようだが、モノクロで粒子が粗く、また石黒の帯を含めた文字のフォントと配置の絶妙さもあり、まるで80年初頭の自主盤のジャケのよう。

『夜半解体』という邦題が示すように、本作のコンセプトはざっと言えば「夜のサウンドトラック」なのだと思う。だが、ここでいう「夜」とは、当時、DJシャッフルマスターとしてカナモリが鳴らした電子音で様々な人が踊っていたクラブ・カルチャーとしてのナイトライフを指すのではない。クラブと同じく風営法の対象である性風俗産業の男と女(同性同士も含む)が織りなしたもう一夜のおとぎ話なのではないだろうか。

常に夜は夢ひらく。そう考えてみると、D面の「It seemed that they vanished among Maniac Love」は、今は亡き青山のクラブを指すのだろうが、実は文字通りマニアックなラヴの在り方をも指すのかもしれない。

まあ、我ながらその見立ては考え過ぎかなとも思う。ともあれ、サブヴォイス時代から「DJがかけやすいトラックと最低限のパッケージやインフォ、それさえあればイイ。いや、トラックさえあればそれだけでも構わない」とばかりに、ダンス・ミュージックとしての強度を最優先していたように見えたカナモリが、12年もの時を超えて、このように視覚性とコンセプシャルな音を強く打ち出した作品を出してきたのが感慨深い。無駄にボケっと生きてみるもんである。


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Kanamori
『Dismantled Desire』
(四季協会 Shiki Kyokai October Autumn)

テーマ : ワールド・ミュージック
ジャンル : 音楽

なまこじょしこおせえの卵子の成れの果て

この2月に再発された『なまこじょしこおせえ』(または『賣国心』『Infecund Infection』)は、1982年、前衛音楽集団「第五列」のデクやオニックらを中心に、ガセネタ〜タコの大里俊晴、アー・ムジーク、園田佐登志、デヴィッド・トゥープ&スティーブ・ペレスフォードといった人たちが参加し、ピナコテカ・レコードから自主制作盤として発売されたオムニバス・アルバムである。

長年、幻の名盤とされていた本作。実は以前、第五列のホームページがあったとき、数多の関連音源や自主出版物とともにフリー・ダウンロードで公開されていたので、とりあえず一聴はしてたのだが、改めて聞き直して思ったことがある。それは彼らがやっていた即興、もしくはフリー・ミュージックというものをジャンルとして捉えるならば、この時だけに通用してただけのものだと思うが、「なんだかよくわからないけど、とにかく何でもいいから音を出してみよう」という精神性と「曲としてカタチになってるのかよくわからないモノ」というナンセンスの魅力においては、今でも十分通ずるものではないか、ということ。

『なまこじょしこおせえ』の30年ぶりの再発と、(大まかに)時を同じくして、マシューデイヴィッドのレーベル、リーヴィングのコンピ『Dual Form』に編まれたサイクリスト、オッド・ノズダム、ラン・DMT、サン・アロウ、トランス・ファーマーズ、ディンテル、ドリーム・ラヴといった連中が繰り出す音は、前述の精神性とナンセンスの魅力だけがあふれている。テクノ、アンビエント、ヒップホップ、ベース・ミュージックという型を守りつつも、どことなくボヤけていてつかみようがない。

よって、どれをとってこうだ、という曲はないのだが、あえて特筆するならば、他のレビューでも指摘されているように、肝心の演奏よりも客の拍手や歓声の方がデカい、ジュリア・ホルターによるアーサー・ラッセルの「You & Me Both」のカヴァーだろう。

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L:V.A.『なまこじょしこおせえ』(Super Fuji FJSP-185)
R:V.A.『Dual Form』(Leaving/Stones Throw STH-236)


そもそも現代音楽畑でチェリストとして演奏をしていたラッセルが、ディスコ・ミュージック方向にズレていったのはダンスフロアでの体験だった。

DJがレコードをかける、その溝から信号として伝わった音がスピーカーから大音量でフロアに放たれる。フロアにいる人間はそれに反応する。体を動かし嬌声をあげる。そのリズムに合わせて手拍子を打つ者も、その歌詞に合わせて歌う者もいるだろう。その他息づかい、体臭ほか諸々。

つまり、音楽そのものもあるだろうが、ディスコという空間の中でレコードから機材、人間、生(ラッセルは同時に自らのセクシュアリティも変更したらしいので「性」も含む)といった様々なフィルターを通された果てに聴覚を刺激する音──ダンスフロアで受けたその衝撃を他人に忠実に伝えようとしたあまり、ラッセルが中心となって制作されたディスコ・レコードは「ダンスする音楽」としては、あまりにフックがない抽象的で感覚的なモノになったわけだが、ホルターはその感覚にオマージュを捧げているのだと思う。

なにより、原音よりフィルターを通した音響効果を重視するという視点は、以前にも書いたようにマシューデヴィッドの個性そのものだ。そんな彼のレーベルらしく、なにかのフォーマットに合わせながらも、結果論としてのあやふやでつかみようのない、なんともいえない音楽。

もちろん、この2枚は違う、音楽性も時代も背景も。ただ『なまこじょしこおせえ』のライナー中に、アイス9の「メロダイン」という曲に対して、バンドのメンバーが書いたものにこんな記述がある。

「純化し、先鋭化し、やせ細り、閉じて極へたどり着きたいという気持ちがある。誰も知らない言葉を所有したいという淫らな願望。
これを否定するもう一つの気持ちがある。皆と笑いたい。たった一人で遠い山まで行き着いてもそれが何だ、という気持ち。
ICE9であることは、この二つの気持ちのバランスを取るのに効率的なように見えました」

この「ICE9」という固有名詞を前出のマシューディヴィッドやジュリア・ホルター以下のアーティストはもちろん、引き合いに出したアーサー・ラッセルに変えてみてはどうだろう?

またリーヴィングと同じく、カセットテープ中心のリリースを重ねているイギリスのホットカーを拠点とする、広義の意味でのテクノ・レーベル、オパール・テープスのコンピ『Cold Holiday』に収録された、ベーシック・ハウス、タフ・シャーム(ドロ・キャリー)、ヒュールコ・S、クラウドフェイスほか。または以前紹介した日本語ラップ・オムニバス『かなへびコンピ』の第二弾に参加した3.2ch、マペト、ハイトビーツらに変えても通じるものではないだろうか。

『なまこじょしこおせえ』が吐き出した卵子が受精して出来たものとして、そこらへんのセレクトが正しいのか間違ってるのかは自分でもよくわからないが、とにかく、今のところはそんな気がする。

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L:V.A.『Cold Holiday』(Opal Tapes OPAL015)
R:V.A.『かなへび屋/かなへびコンピ2013冬』(かなへび屋)

無為な自然音も過剰に加工された人工的なノイズも皆同じ、差別なし

もう、10年くらい前になるだろうか。ストラグル・フォー・プライドのライブで奇妙なものを観た。

沼袋のスタジオでのライブだった思うが、前のバンドが終わり、セッティングを始めた彼らは、左右に振り分けられたギターとベースのアンプを移動させステージの真ん中でくっつけて、ドラムセットを隠してしまったのだ。いざライブが始まると、アンプからハウリング音や各楽器のエフェクト音が大音量で鳴る。ボーカルはマイクに向かって叫び、ドラムはブラスト・ビートを叩いているようだが、アンプからの雑音にかき消されてほとんど聞こえない。いつもなら暴動のようになるストラグルのライブだが、この時の客は皆どういう反応をしていいのかわからず、ほとんど棒立ちだったと記憶する。

それから数年して気づいたのだが、あれは実験だったのだ。一言に「実験」と言っても様々な解釈がある訳だが、ストラグルの場合、いかに他人に届かせるかということにおいて。つまりは「自分たちが音楽、とりわけハードコア・パンクについて考えてるのはこういうことです」。

カリフォルニアの2人組ブラック・メタル・バンド、スーテック・ヘクセンがやっていることはまさにそれだ。特に初期のシングル3枚をコンパイルした『Empyräisch』の溝に刻まれているのは、コントロールを失ったようなディストーション・ノイズ。ペイント・イット・ブラック!黒く塗りつぶせ! でも、そのベタ塗りの仕上げは雑でところどころ余白が。そこに入って埋め合わせているのがブラストビートと亡霊の阿鼻叫喚を思わせるようなボーカルである。それをもって完成と成してるわけだが、ミキサーの普通だったらフェイダーを上げちゃいけないチャンネルのレベルメーターだけが赤になってる感じ。とにかく異様なまでにアンバランスな音楽なのである。

また、下の動画を観る限り、スーテックのライブはツインギターの演奏に、さらにギターをアンプにハウリングさせたり、変な自作パーカッション(?)を叩いたり、ローランドのSP-404みたいな簡易サンプラーからポン出しでビートループやSEを流すという形式で行われているようで、そこらへんにあるものでなんとかしていくようなプリミティブな感じも、前述のストラグルのライブの音の出し方とも共通しているのではないだろうか。



話を『Empyräisch』に戻そう。本作は楽曲云々で語るものでもないと思うが、強いて特筆するなら、イントロに教会の鐘の音に木が燃えるような音のSEが挿入されているA-2「Murmur」だろう。もちろん、このSEはブラック・メタルの悪名が轟くきっかけとなった、バーズムのカウント・グリシュナク(ヴェルグ)が起こした教会放火事件のオマージュと思われる。正直まだそんなことやってるのかよ、と思わなくもないが、メンバーのケヴィン・ギャン・ユエンは『Crustcake』のインタビューで「スーテック・ヘクセン結成前から、街中や山を歩いてはフィールド・レコーディングをしていた」と語り、「フィールド・レコーディングやノイズのテクニックはクリス・ワトソン、秋田昌美、ポウ・トーレスのような人たちが発明したり発見したものだが、それはニューロシスおよび別ユニットのトライブス・オブ・ニューロット、スワンズ、ウルヴェルといったバンドが出す音とも同じように聞こえるんだ」というようなことも語っている。つまり、無為な自然音も過剰に加工された人工的なノイズもヘヴィーで禍々しい音として同一線上に存在しているところが、本作の一番の魅力なのだと思う。

しかし、その後のスーテックは違う方向へ進んでるようだ。『Luciform』('11)で壮大にノイズ・ブラック・メタルをけたたましくならした後は、『Behind The Throne』('12)は曲も長尺になり、過剰なハーシュ・ノイズはアンビエンスを深めビートレスに。さらに『Larvae』('12)ではマスタリング・エンジニアに、サン・O)))のスティーブン・オマリーらとカネイトで激重ドゥーム・メタルを追求し、解散後はドローン関係のマスタリング/制作も多く手がけるジェイムス・プロトキンを迎え、徐々に…というかギンギンにドローン・メタル方面に前のめりなご様子。しかも最新作『Breed In Me The Darkness』は「The Second Coming Mixes By Andrew Liles」というサブタイトルが示すように、ナース・ウィズ・ウーンドのサポート・メンバーでもある実験音楽家、アンドリュー・ライルズが参加。この共作アルバムは昨年秋にカセットテープで出て即完売。2枚組LPおよびCD化も予定されているが、まだ日本に入ってこないので、試聴段階で言わせてもらえば、まるで『Empyräisch』が白黒反転したようなアンビエント・ドローン、いやヘタしたらポスト・クラシカルと言っていいくらいだ。



そもそも、ドローン・メタルという音楽自体、その祖であるアースのディラン・カールソン曰く「メタル・ミュージック(註:具体的にはメルヴィンズのようなスラッジ系らしい)とラ・モンテ・ヤングのミニマル・ミュージックの融合」というコンセプトから始まったというし、そのアースのトリビュート・バンドである、前出のサン・0)))のスティーブン・オマリーがエディション・メゴ主宰のピタとKTL結成以降、電子/実験音楽関係に大きくコミットしたりするような流れともリンクしているようで、それはそれで興味深くはあるのだが、スーテックの場合、前が前なので少し収まりが良くなっちゃったかなという感も否めない。

しかし、個人的にはその変遷をリアルタイムで追っかけた訳ではなく、むしろ遡って聴いたせいか、この流れは必然だったようにも思うのだ。「自分たちが考える音楽、とりわけヘヴィ・ミュージック」のあり方が変わったのだろう。ノイズ・ブラックからアンビエント・ドローン、果てはポスト・クラシカル。すなわち今は極から極へ行くか行かないかの過渡期とも言える。はてさてスーテック・ヘクセンがさらに転がり続ける先とは?
 
sutekh.jpg

Sutekh Hexen
『Empyräisch』
(Vendetta Records Vendetta 69)

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PRE//SILENTNOISE主宰者。
RECORDer編集長。
ひとりE.A.R.(永遠に丁稚)

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