スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

僕はシンリシュープリームのライブを観たことがある

僕はシンリシュープリームのライブを観たことがある(*1)。

エレクトロニカからテクノ、フリーフォーク、果てはノイズやギターロックまで、一貫性のないリリースで賛否両論だった頃のファットキャットから突然デビュー。そして大分在住ということもあり謎も多く、一体どういう人がやってるのかという興味もあっただろうが、当日集まった客はなにより「マイ・ブラッディ・ヴァレンタインと初期ジーザス&メリーチェインとスーサイドとメルツバウの出会い」とも称された音が、ライブでいかに演奏されるのかにあったはずだ。

何の変哲もないドラムセット、ただし、そのスネアの上にはギターが置かれている。そこに座った男は何の変哲もないフレーズを叩き、そしてギターを打楽器のようにスティックで叩く。

♪ギャーーン

エフェクターを通したギターノイズとその残響音をバックに男は単調なフレーズを叩き、頃合いを見て、またギターを叩く。

♪ギャーーン

僕が記憶している限り、シンリシュープリームのライブはこんな感じだった。ホントはギターによる弾き語りやセッションなど色々やっていたはずだが、あまりよく覚えていない。ただ、困惑していた。それはあまりに既存の楽曲と違っていたからだし、インプロということを加味しても、あまりになっていなかった。それは僕だけではなく、そこにいたほとんどの客は同じ思いだったように思う。

シンリがあの場でやりたかったことがなんとなくわかったのは、その3年後、プンクボイを前座に添えた想い出波止場の復活ライブを観た時だった(*2)。山本精一、津山篤を始めとした想い出波止場のメンバーは、既存のレパートリーをほとんど演奏しなかった。いや、やったかもしれないが、ギター、ベース、ドラム、サンプラーを使って、楽曲として練られ作り上げられる原型みたいな、音の断片をそのまんま、時には執拗に反復することによってずっと演奏し続けたことの方が記憶に残っている。つまり、あの時のシンリのライブはその一人バンドバージョンだったのではないかと。

シンリの音作りについては不明だが、本人の話から推測するにメンバーとして二人の名が記載されている1stアルバムでは、友人とのセッションテイクや自分で打ち込んだシーケンスをソフトウェアで組み立てたようだ。つまり、あのライブはミックスされる前の断片を、シーケンサーの自動演奏に頼らず、ギターとドラムを使って演奏することによって、想い出波止場と同様に自らの音の本質や魅力をあぶり出していく行為だったのではないだろうか。そんな風に思ったのだ。

前置きが長くなった。本作はワールズエンド・ガールフレンドのレーベルから出たシングルである。かつてフリーダウンロードで配信された楽曲群より5曲を選び、さらにアレンジ、ミックスを練り直したのだという。

M-1「Seaside Voice Guitar」でのボーカルをもかき消すようなハーシュノイズのインパクトが強いこともあってか、一部ではそっち系でとして評されてるようだけど、全体を通して聴くと、それよりもマイ・ブラッディ・ヴァレンタインの『Loveless』で、ケヴィン・シールズが執拗なアレンジとミキシングへのこだわりにより、無意識に表出したエラー・ミュージックとしての側面と共通するものを強く感じる。その過剰さを何かジャンルにあてはめるなら、アンディ・ウェザオールが1stアルバムのリリース時に「初期クランプス以来、最高のロック・ミュージック」という称賛を寄せたように、一つ一つの断片をこの上なくけたたましく鳴るように尖らせ、殺傷能力を高めた兇悪なガレージ・ロックなのだと思う。

最近出た、奇形児の7インチEP『嫌悪』(ADK/Crust War)は、ガジ〜サーモのメンバーだった君島結のエンジニアリングにより、ADKレコードの主宰者だった故タムのそれを思わせるガビガビな音像で、聴いた者の心に残留感を与えるような代物となっていたが、シンリシュープリームもまた然り。あの時、一緒にシンリのライブを目の当たりにした数十人の観客のうち、どれだけの人が本作を聴いてるのかはわからないが、あのライブと同様に「自らの音の本質や魅力をあぶり出す行為」として、被弾したこちらに言いようのない残留物しか与えないのである。

*1:2006年6月25日、『Music Is Free』@西麻布バレッツ
*2:2009年6月8日、新大久保アースダム


xinli4bomb.jpg
XINLISUPREME
『4 Bombs』
(Virgin Babylon VBR-009)



スポンサーサイト
プロフィール

RECORDer

Author:RECORDer
PRE//SILENTNOISE主宰者。
RECORDer編集長。
ひとりE.A.R.(永遠に丁稚)

メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

Twitter...A

PrecordeAr < > Reload

リンク
RSSフィード
Category Bar Graph
月別アーカイブ
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

最近のコメント
最近のトラックバック
ブログ内検索
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。