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怒りて言う、音像のショック感こそすべて

ハイプ・ウィリアムスの黒い方、ディーン・ブラントのアルバムはソロとして初めての作品にも関わらず、当然のように本体とほとんど代わり映えがない印象を受ける。どっかで聞いたような不協和音が鳴り響くホラーシネマ・コア「Direct Line」。テキトーに打ち込まれ弾かれたシンセとリズムとギター、そして相方のインガ・コープランドの歌が陰鬱な気分にさせる「The Narcissist」。また、本作ではブラントが積極的にボーカルをとっているのだが、ラストの「Coroner」では、以前「ラップは嫌い」とインタビューで言ってたにも関わらず、さらにだらしなくなったリル・Bみたいなラップまで披露。大事なネジが緩んで崩壊寸前なドローン・シンセ・ポップが、ボンヤリとした音像でただ雑然と刻まれた溝に記録されている。

公式なのか海賊なのかわからないが、ドイツ(ただし、ジャケには「Made In England」というシールが貼ってある)のレーベルから、750枚限定でリリースされたザ・ゲロゲリゲゲゲの編集盤LPもそれと似た感触だ。タイトルのネーミングセンスも含め、デ・ラ・ソウルの1stとともに「これでいいんだ」と
初期暴力温泉芸者に影響(勇気?)を与えたであろう「Gero-P 1985」「Gay Sex Can Be AIDS」での取ってつけたようなハーシュノイズとサンプリング・コラージュ。以前、ゲロゲリについて書いたときにも触れたカットアップ「古川緑波」。初期グリーン・ヴェルヴェットの変態スポークン・ハウスを思わせる「Life document 2」、『パンクの鬼』をさらにしょぼくしたようなカウンティング・グラインド・ノイズ「All You Need Is An Audio Shock Pt. 1」などが、ただ雑然と溝に記録されている。

時代も立ち位置もジャンルも音楽性のベクトルも違う両者だが、(こじつけるなら)一つ共通する印象がある。それは自分が生み出したモノが一つの形となって、それがどういう形でも他人の耳に入れば、あとはどうでもいい、そっちの好きにしいやという姿勢だ。それはエリック・ドルフィーの遺作『Last Date』のラスト曲に入る有名な台詞「音楽は空に消え、二度と捉えることは出来ない」であったり、安藤昇の名曲「男が死んで行く時に」の一節からとられた、渡邉浩一郎の追悼盤のタイトル『まとめてアバヨを云わせてもらうぜ』という言葉が持つ意味とも同義であると思う。

無理にタグ付けするならば、ブラントおよびハイプ・ウィリアムスはシンセ・ウェイブ、ゲロゲリならばノイズというジャンルに属すると思うのだが、それぞれの看板を背負うほど際立った何かがあるわけではない。ジャンルとして成立する前──つまりは音楽として成っちゃなくとも完成形として出していく感覚が前につんのめってるように思える。それは思わせぶりなニヒリズムさえ入る余地もなく「ただ、自分が作った音が盤に刻まれている」ということ。てんでバラバラな一曲一曲が産み出すことによって生まれる混沌こそが、この2作の魅力なのだ。

年間ベストに入れたレイムや、ホワイトハウスのウィリアム・ベネットの別ユニット、カットハンズなどをリリースし、また、踊らせたいのか引きこもらせたいのかわからない選曲のDJミックステープで知られるレーベル、ブラッケスト・エヴァー・ブラック主宰者のキラン・サンデ(『Fact』編集者だったのには少し納得)は、『Resident Advisor』でのメールインタビューでこんなことを綴っている。

ハウスやダブステップのプロデューサーが創る音楽がほんとうは何のために創られているのかを厳しく追究する奴もいない。それが「何のために」という目的で創られているものじゃないし、そうあるべく創られたものじゃないってことを俺たちは暗黙のうちに了解してるからさ。でも、しばらくすると結局みんなそういう「何のために」っていう中味を知りたがるようになるもんなんだ。違うかい? いまのところ、俺個人としては挑発されていたいし、夢を見ていたいし、愚かに混乱させられた状態のままでありたいんだ。

個人的にはいずれも擦り切れるほど聞きまくるという類いのものではないが、愚かに混乱させられた状態のままでありたいときに、自分はこの2枚のレコードのいずれかに針を落とすだろう。

deanblunt.jpgSHOCK001LP.jpg
L:Dean Blunt『The Narcissist II』(Hippos In Tanks HIT022)
R:The Gerogerigegege『All You Need Is An Audio Shock By Japanese Ultra Shit Band』(Audio Shock Recordings SHOCK1) 




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RECORDer編集長。
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