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おのれの手に握りしめたモノ一つだけでパッドを叩け!

正直、僕はラージ・プロフェッサーのいいファンとは言えない。しかし、4枚目のアルバムとなる新作『Professor @ Large』をレコード屋の試聴機でしょっぱなの「Key To The Chain」を聴いた時、パブロフの犬のようにのどの奥から甘味がかった唾が出てくるのを感じたのである。

なにせ♪チャッチャララ〜ンというファンファーレめいたサンプリング(ブルー・ミッチェルの「Ojos De Rojo」らしい?)が高らかに鳴ったかと思いきや、待ってられないぜ!とばかりに、本人が食い気味にラップし出すのだ。スクラッチがロブ・スウィフトだということも含めてたまらんでしょう、これは! 以下、バスタ・ライムスが参加したM-3「Straight From The Golden」、インスト曲などもはさんで迎えるラストのロック・マルシアーノやサイゴンなど新鋭のMCたちが参加した「M.A.R.S」に至るまで、サンプルとキックとハットとベースライン、そして、その言葉を発するまでの息づかいさえ感じられるラップ、その絶妙な配置は聴く者を無駄に燃えさせるのだった。

そのプロダクションについてはライナーによると、既にオールドスクール直伝の「オリジナル盤からサンプリングする」という方法論にこだわりはなく、MP3ファイルをMPC4000に取り込んで組み立てた曲もあるそうで、それはそれで残念に思われる向きもあろうが、その結果出来たトラックはポール・C師お目付のもと、レコードからブレイクを拾って、SP-1200にブチ込んで切って貼ってしていた頃のビートの質感と変わらない気がするのだ。いや、そのキャリアや才能がどうというよりも、ラージが自分の手の内に握られた一つのものでしか作ってない、そこに本作が持つ一番の魅力を覚えるのだ。

そして、その手にした「一つ」が産み出すシンプルな声とグルーヴの絶妙な配置とその魅力とは、アイワビーツ・イズ・タイムスライスを名乗るトラックメイカーにも当てはまると思う。

アイワにとって初の(?)フィジカル・リリース(プレスCD)となる『Low Blend Theory』は、その題が示すように、90〜00年代の新旧ヒップホップのアカペラを使用したブレンド集なのだが、まだ20代後半のはずのアイワはとにかく聞き込む事によって、原曲が持つグルーヴ感の髄液を自らに染み込ませ会得したのだろう。君は各々のグループやクルーの周りにいたのかね、と問いつめたくなるほど、その相性たるや抜群だ。

特に素晴らしいのがM14の「Club Banger」。作品の性格上、ホントは明記しちゃヤバいんだろうが、J・ディラがお気に入りでよく共演していたというデトロイトのラッパー、ファットカットの同曲のアカペラを使ったものだ(正直に言うと元ネタがわからず本人に訊いた)。それを意識したか不明だが、その音はディラがまだジェイ・ディーを名乗ってた頃、ファーサイドなどに提供していたトラックや、Qティップと組んだジ・ウマーで制作した、ア・トライブ・コールド・クエストのラストアルバムに通ずると思う(ここでもう一度『Low Blend Theory』というタイトルを思い起こしてみよう)。要はいろんなエッセンスが溶けたヒプノティックな電子音とリズムのループが、小節ごとにフィルターを細かくかけていく事によって展開していくアレ。ラップとトラックの構造と切断面をこれでもかと見せつける、この曲はまさに「タイムスライス」そのものだと言っていいだろう。

あと、付け加えるなら、ラージはもちろん、とんでもなく傑作(で同時にカルト)なキエるマキュウの新作『Hakoniwa』にも言えるのだが、アイワがこしらえるビートもまた「頭が振れるヒップホップ・ミュージック」ということである。

6月30日に幡ヶ谷ヘビーシックで行われた本作の発売記念イベントで、アイワは自身が所属するゴッド・イート・ゴッド・ファウンデーションのメンバーとして出演したのだが(ちなみに共演はCARRE、エンドン、プレパレーション・セットなど)、飛び入りも含めたMCたちのバックで、彼はコルグのサンプラー、エレクトライブ・S一台でビートのループを流しながら、MCたちが吐き出す言葉に対峙するかのように、リアルタイムでチョップやエフェクトを施していた。その音捌きは絶妙で、時間を経るごとにテンションが高まっていくラップと相まって、僕はガッシガシに頭を振りまくり、その少ない脳みそを撹拌していた事は言うまでもない。

ただ、本作は未だちゃんと流通してないようで、今のところ、一体どう入手すればいいのか不明。しかし、なんだかよくわからないうちに作品が人の手から手に渡っていく感覚が、アイワがルーツとする90's地下ヒップホップの作品流通の在り方を彷彿とさせるし、何よりラージ・プロフェッサーだってそこから始まったんだと考えれば、それはそれで筋は通ってたりするのではと。だが、さすがに今は2012年。数曲の試聴とDLぐらいは出来ます


largepro.jpg aiwa.jpg
L:LARGE PROFESSOR『Professor @ Large』(Fat Beats/ディスク・ユニオン)
R:AIWABEATZ IS TYMESLYCE『Low Blend Theory』(BLEND-001)


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RECORDer編集長。
ひとりE.A.R.(永遠に丁稚)

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