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個々の思い思いの型とそのズレに思いを馳せる

プラガ・ソム・システマのブレイクにより、有名になったポルトガルはリスボンのストリート・ダンス・サウンド、クドゥーロをプラガ〜の仕掛人、J・ワウがコンパイルした決定版が本作だ!──と、キャッチを適当にアレンジしてみたが、ローカリズムを反映して、細分化し続ける昨今のダンス・ミュージック・シーンに登場した新たなサブジャンルに期待しつつ、いざ、1曲目のニック・サーノの「Mana Wasa」を聴いてみると、適当なサンプリング、ピッキピッキな電子音、愚直なまでに四つ打ちのビートが産み出す軽々しいノリに、90年代半ばにバカとアホの狭間を全力疾走で駆け抜けた、シカゴのゲットー・ハウスを強く感じたのだ。というか、そのまんま。そして、どっからか湧いて出てきたような連中が次々と曲をひねくり出して最後の曲に至るまで、その印象は変わることがない。

サンプルネタやリズムの間はなんとなくなポルトガルっぽさを感じるし(そもそもこの国固有の音楽性がよくわからんが)、何よりサンプラーとTR-909だけで作っていたと言われる本家に比べれば、基本ソフトウェアで作っている、これらクドゥーロの音像はエッジが効いていてクリアな印象を受ける。だが、ここにあるのは確実にゲットー・ハウス、ひいてはマイアミ・ベース(さらに遡ればPファンクか?)から連綿と続く、ブーティー・ミュージックの血脈なのだ。言わずとも知れるだろうが、タイトルからして「激しくケツを振れ!」なのだから。

とはいえ、クドゥーロとゲットー・ハウスの相関関係はハッキリとはわからない。実はクドゥーロ側は全く影響なんて受けていないのかもしれない。でも、ダンス・ミュージックとは目的化された音そのもの。個人的な感覚で言わせてもらうなら、空手でいう「型」と同じなのだと常々考えている。いとうせいこうのエピソードで、少年時代に通信講座で空手を習っていて、その昇段試験は型のポーズを自分で写真に撮って講座を主催している会社に郵送し審査してもらっていた、という笑い話があるが、本作を聴いていると、お手本を参考に見よう見まねでとった、個々の思い思いの型と、そのズレこそダンス・ミュージックなのだと改めて思い至るのだ。その上で、2010年代のニック・サーノ(ボク・ボクでも誰でもいいけど)と1990年代のDJファンク(ポール・ジョンソンでも誰でもいいけど)が作る音が偶然似て聴こえてしまうというのは十分あり得ることだろう。

2マッチ・クルーのぽえむが、前出のDJファンクやポールジョンソンが所属したシカゴのゲットー・ハウスの総本山的レーベル、ダンス・マニアについて「ゼロ年代以降、脚光を浴びる、バイレファンキやボルチモア、グローカル・ビーツと呼ばれる世界各地のゲットー・ベース・ミュージックの元祖といえるにもかかわらず、その切り口で語られる事はあまりない」(『音盤時代』Vol.1/2011年夏号)と書いているが、まさしく、本作に収められた音の数々はそのジレンマを埋めあわせるような感じだ。まあ、クドゥーロもゲットー・ハウスも音楽の構造そのものが、聴き手にこのような過剰な思いを抱かさせなければ埋め合わせられないぐらい、どうしようもなくスッカスカというのもあるのだが。

hardass.jpg
Various
『Hard Ass Compilation』
(Enchufada/Octave)


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