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ブロークン・フラッグのもとに集いし連中とマシューデヴィッドが抱える共通の歪み

自分を囲む円の外で鳴る、なんとも言いようがない曖昧とした音の存在──ラムレーが主宰するノイズ/インダストリアル・レーベル、ブロークン・フラッグの初期カセット作品をコンパイルした5枚組のボックスCDを聴いて聴いていると、そんな思いに駆られる。M.B.ことマウリッツィオ・ビアンギ、アンコミュニティ(正体はマッカーシー〜ステレオラブ結成前のティム・ゲイン)、コントロールド・ブリーディング、メイル・レイプ・グループ、ル・シンディカト、ジャンカルロ・トゥニウッティ、マウトハウゼン・オーケストラ、クリストウォー(以上、ところどころ読み方自信なし)。そしてアーリーズとして括られて収録されたコンシューマー・エレクトロニクス、ザ・ニュー・ブロッケイダーズといった連中が作り出す音は、同時に自分なりに魅力的な音と響きを創ろうとすればするほど、雑音の塊を産み出してしていくような「歪み」から生じているのだろう。

閑話休題。先日、LAを拠点とするトラックメイカー、マシューデヴィッドが来日を果たし、ライブとともにワークショップを行った(2012年12月9日:芝浦ハウス)。実は彼の曲はコンピでしか聴いたことがなかったのだが、そこで語った自身の音楽制作の話が興味深かった。彼はPCのソフトウェアで音楽を作ってるのだが(そのソフト名は失念)、まず1曲出来上がるとそれをカセットに録音する。そして、その録音したものをPCにまた返す。それをまたカセットに...を繰り返すのだ。その作業の途中にはテープスピードのピッチを遅くしたり、コンプレッサーやディレイをかけたり、サンプラーを通したり、さらに音を足したり引いたりしながら仕上げていくのだという。

しかし、彼がやってる手法が斬新なものかというと疑問が残る。個人的にはダブやミュージック・コンクレート、スクリューなど既成の音響テクニックの応用でしかないように思うからだ。しかし、自らの音楽が既成の文脈の上に成り立ってるなんていうことは、「パンクやローファイにも影響を受けている」といった当日の発言や、僕が彼に興味を持つキッカケともなった『エレキング』(Vol.5)のインタビューを読む限り、わざわざこちらが書かなくとも、彼自身がとっくに自覚しているフシがある。むしろ「そんな細かいこたあどうでもいいじゃん」とこちらをせせら笑うだろう。

「私はクリシェ」(X-レイ・スペックス)

当日、物販で買ったのが一緒に来日したアネノンとの共作とお互いのソロのスプリット・カセット。前者はアンビエント・ドローンで、後者は大雑把に言ってしまえばそれにリズムを加えてでっち上げたようなビートもので、曲自体はやはり習作というのか「とりあえず、こんな感じでやってみました」感が強く、特筆すべきものはない。しかし、カセット特有のヒスノイズに包まれた独特な音像にはしっかり心を掴まれるのだ。

マシューデヴィッドのオリジナリティとは作曲そのものではなく、加工して作り上げた音像にあるのだと思う。その証拠に彼はこういう風にビートを組んでとかメロディがどうだのという、作曲についての部分についてはほとんど語らなかった(加工のほうに質問が集中していたというのもあるが)。既成の文脈に則りながらも、その上で「音楽というよりも、いかに曖昧で歪んだ音像を作り出していくか」という部分に重点を置いたような姿勢は、前出のブロークン・フラッグに引きつけられるように集まったM.B.以下のノイジシャンたちと共通するのではないだろうか。

ちなみにワークショップ後に行われたライブは、カセットでの作風をさらにチャラくさせたような、変態的な怪しい色気を感じさせる電子音と、TR-808っぽい乾いたビートを組み合わせたサウス系ヒップホップ風だった。その音の構造こそ潔いまでにスッカスカだが、ベースが異様に出ており、ライブ開始後5分くらい経った頃だろうか、その低音の鳴りでPA卓にあった照明の電球のカバーがパリンと音を立てて割れたのだ。それを目撃した僕は人知れずガッツポーズをしながら、何かで読んだカーティス・ブロウの発言を思い出していた。

「TR-808の低音のフィルターを全開にすると、家のステレオもカーステも全部壊れちまうんだ。というか、俺たちはそうすべきなんだ!」(大意)

もちろん、PAミキサー自体の設定ミスだとはわかっているが、そのアクシデントでさえマシューデヴィッドが抱える「歪み」が引き起こしたものだったんだと、あれから一週間経った今も妄想が止まないのだ。

matthew1jpg.jpg matthew2.jpg brokenflag.jpg
左:Matthewdavid & Anenon(レーベル不明)
中:Matthewdavid / Anenon『Toki』(Day Tripper/DTR-C006) *split
右:V.A.『Broken Flag: A Retrospective 1982-1985』(Vinyl-On-Demand)





↑なぜ、ノイズのイベントでインナーシティの「Good Life」がかかってるんだ? そして意外とみんなノリノリ...
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