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お前の物語を人に押し付けるな!じゃあ、一体どうすればいいのだ?

フガジのイアン・マッケイ主宰のディスコードからリリースをしていたハードコア・パンク・バンド、ブラック・アイズのギター&ボーカルだったダニエル・マーティン・マコーミックのソロ・ユニット、アイタルの新作は、同じくプラネット・ミューから出た前作同様、強くダンス・ミュージックであることを強く意識したものであり、デトロイトへの敬愛をさらに深めた音ともいえる。

SE的に入る狂った電子音とつんのめった感じの焦燥的なベースラインとリズムや唐突な転調。そして、日本盤ボーナストラックの「Xlstfil」のように10分以上延々とドリーミーに引っ張っておきながら、ブチッと曲が終わって唐突にプレイヤーが停止して終わるといったラストが象徴するように、本作はとにかく野放図でフリーキーで雑。そして、ジャケのアイタル本人制作のコラージュのように、どこか整合感がなくアンバランス。

『エレキング』のインタビューによれば、ムーディーマンやセオ・パリッシュ、オマー・Sなどはもともと好きだったらしいが、むしろ、もっとオールド・スクール、例えばカール・クレイグのサイケやBFC名義で出していた初期作品群に共通するものを本作に感じる。

ものはついでに。カール・クレイグには個人的に思うことがある。リアルタイムで聴いてたわけではないけど、クレイグがサイケ名義で出した「Neurotic Behavior」こそ、デトロイト、いや、テクノというジャンル全体にとっても、異色かつ重要な曲の一つなのではないか、と。

なんだかんだ言いながらもテクノはハウスを軸とした音楽だった。ダンス・ミュージックであることが前提。同曲も最初に世に出たのはオリジナルではなく、師であるデリック・メイがリズムを付け足したエディット・バージョンだったように(今となっては蛇足という言葉がピッタリだが)、そのジャンルにおいてシンセだけで音楽を作ろうという行為自体が、当時はかなり異色だったような気がするのだ。この曲を作った際、ドラムマシンを持ってなかったから、という単に物理的理由もあったようだが、チル・アウトという言葉にもアンビエントという静謐なイメージにもどこにも絡まない(絡めない)ような奇形音楽という感じがするのだ。

アイタルの音楽にも同種のそれを感じる。本作はインディ・ハウスというタームで売られているようで、僕はここらへんのシーンについてはよく知らないけど、ブラック・アイズがギター、ベース、ドラムというバンドの格闘だとしたら、バンド解散後、TR-707をはじめとした機材を手にしたという彼がやってることは、シンセサイザーやドラムマシンといった電子楽器のチャンス・オペレーションと言うべき一人きりの格闘なのだ。ここに収められた8曲はビートこそあれ、自分が思うようにシーケンスを作っていたら出来てしまったという点において、新たな「Neurotic Behavior」なのではとさえ思う。

まあ、以上の論は大げさかもしれないし、テクノはともかくUSインディには全く詳しくないけど、10数年前、トータスの曲をデリック・カーターがリミックスした12インチEPを高田馬場のレコファンの面見せの棚からニヤニヤして抜き、その数年後、ダンス・ミュージックを自らの血肉として現したザ・ラプチャーやジェイムス・マーフィーといったDFAレーベルのレコードをあちこち探しまわった我が身を振り返ると、今はここまで来たんだと妙に嬉しくなる一枚だ。

italdreamon.jpg
Ital
『Dream On』
(Planet Mu/Meltingbot)



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