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Best Long-Play 2013(((Side-B)))

10:A$ap Rocky『Long.Live.ASAP』(Polo Grounds Music/ソニー)
前にも書いたが、俺にとってのヒップホップとはラップのフロウとビートで頭がガンガン振れるものというのが基準なんですよ。小難しい事はさておいてという感じ。バッキバキでしょう、これ。ニューヨーク出身にもかかわらず、南部ヒューストンのスリー6マフィアの背骨を抜いたかのようなサウス系トラックの連打。ゆえに苦手なスクリレックスが参加した曲もすんなり聞けたりするのだろう。特に素晴らしいのがフレンドゾーンが提供した「Fasshon Killa」だろう。フッワフワでトロットロなチルアウト・トラックに、クサの甘ったるい口臭さえ感じられるロッキーのラップ。発売時期が昨年末だったので泣く泣くランキングから外したウィズ・カリファのアルバム(傑作!)と共に抗えない一枚。

09:RP Boo『Legacy』(Planet-Mu/メルティングボット)
 「この世にはジュークとヒップホップさえありゃあ、それでいいのではないか」と妄言を吐きたくなるぐらい、ここらへんのアルバムはハズレが無かった。というわけで、同じシカゴのDJラシャド、EQ・ホワイ、K・ロッケのアルバムなども最高だったが、本作のリード・トラック「Speaker R-4」の最小限の音数で作られたミニマルなグルーヴ感がPV共々素晴らしくこれを選んだ。そして、さらに言えば3曲目の「Red Hot」でライク・ア・ティムの「Sonic Boom」をサンプリングしてる所にもグッときた。ロッテルダム出身でシカゴ・ハウスや初期のデトロイト・テクノ、そしてウルトラ・マグネティック・MCズなどのミドル・スクール系ヒップホップに影響されたという彼の曲をサンプリングしてると言う事は、とどのつまり「ハウスとヒップホップ」なジュークのルーツともリンクするのではないかと思ったり……。

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08: Drake『Nothing Was The Same』(Cash Money/ワーナー)
「ハードコア・パンクのライブでしょっぱなにドラマーがジャーンとシンバルを叩く、その瞬間が一番素晴らしい」と言ったのが、昔の山塚アイだったか、まだUGマンのヴォーカルだった頃の河南ユージかは忘れたが、僕にとってドレイクの新作はまさにそういうものである。再生ボタンを押すとフェイドインしてくるピッチを落とし逆回転させたボイス・サンプルのループ(ネタはホイットニー・ヒューストンの「I Have Nothing」)。そこにドラムループが足され、ドレイクはラップする。日本盤の対訳では要約するとこんな感じ→「俺の前作のアルバムは2千万枚売っちゃったよ、すげえだろ」。単なる自慢話じゃねえか! でも、このうえなく美しい。正直、その「前作」の方がいいかなと思う所もあるが、それでもこの「瞬間」だけですべてを持って行かれる。

07:Stagnation『Live Terronoize』(Strong Mind Japan)

もう10年近く前の話だが、アブラハム・クロスのフライヤーに「Radio Boy≒Disorder」と書かれていた事がある。レディオ・ボーイはハーバートによるメッセージ性の強いサンプリング・ミニマル・ハウス。ディスオーダーは言わずと知れたイギリスのハードコア・パンクの先駆的バンドのひとつだ。ヴォーカルのソウジロウにその意味を訊いたが、笑って答えてくれなかった。もし、その無言の笑顔の向こうを無自覚に体現する者が、このスタグネーションだとしたら? と今にして考えている。本作は2012~13年のライブから2編収録したものだが、ここで追求されているのはドレイクの項でふれたハードコア・パンクの刹那的な瞬間性ではない。むしろ、彼らは曲間を開けない事によって、現代音楽的に複数の曲を一つの組曲として成立させていたイギリスのハードコア・バンド、アンチ・セクトを介して、無自覚的にカンやノイ!、PILのように各パートがフレーズを延々と反復させることによって起こる何かを求めているのではないかと思っている。また、「ファズ」としてメンバーに名を連ねているのが、かつてDJとハードコア・バンドが共演するイベントに、アブラハムやストラグル・フォー・プライドらと共によく出ていたデコンストラクションにいたノザキだったというのも驚きだった(どうも2008年ぐらいには既に参加していたらしい)。それゆえか、彼らが主催する企画<Violent Party>で初めて生の音を体験した時、ハードコア~クラスト・パンクの文脈にあるものだが、同時に(あえて「今さら」ながら)ハウス/テクノ以降のダンス・ミュージックとも交差するのではないかと思ったぐらいだ。彼らの盟友的バンドの一つであるイステリスモの『Follia Verso L'Interno』とともに、そういう風に曲解したい一枚。

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06:Earl Sweatshirt/Doris(Tan Cressida)
オッド・フューチャーがブレイクするなか、素行問題で大学教授の母親にサモアの更生施設に入れられていたという彼の真の魅力を感じたのは、ミックステープ『Earl』ではなかった。むしろ復帰してから。それがマック・ミラーのセカンド『Watching Movies With The Sound Off』で、アールがプロデュースした1曲目の「The Star Room」だった。ネタはわからないが、サイケデリック・ロックをカットしてループしてリバースしたりスクリューさせたような、というかそれ以外の何物でもないトラック。そこに僕は狂気を感じたのである。本作はその狂気をふんだんに堪能させてくれるものだ。あらかじめ決められたように精度が狂ったループを重ねただけというトラック、バランスを失ったミキシングはかつてのスペクターやセンセーショナルみたいなワードサウンドの作品を思い起こされる。だが、ここにかぎかっこ付きの前衛もILLもない。それは単純にそのトラックに当てはめただけのような意味がないリリックも含め兄貴分のタイラー・ザ・クリエイターが生み出すものと共通する、ただただチープさが生み出す粗暴な音像だけが耳に残る。アルバムの出来として考えたら、マック・ミラーの方がいいと思うのだが、ここはあえて「だけ」しか追求できない様なアールの本作を選んだ。

05:Shifted/Under A Single Banner(Bed Of Nails)
ミニマル~インダストリアルの動きが面白いのは、従来のシカゴやデトロイトといったテクノの文脈だけではなく、ノイズやドローンといったアヴァンギャルドとされている文脈がごっちゃになり始めてる事だろう。このシフテッドはそのひとつの象徴と言えるかもしれない。前作はUKテクノのベテラン、ルーク・スレイター主宰のモート・エヴォルヴァーからで、本作はプルリエント~ヴァチカン・シャドウほかのドミニク・フェルナウが、ホスピタル・プロダクションとはまた別に設立したテクノ(?)レーベル、ベッド・オブ・ネイルズ。またアレキサンダー・ルイス名義ではブラッケスト・ブラック・エヴァーからインダスノイズドローンなアルバムを……という感じで、それほど派手な動きではないが、前述の文脈が交錯した点にいる人なのだった。単に動向だけではなく、本作の内容も素晴らしい。キックとハイハットとストレンジな電子音とそのくぐもった質感だけで全編押し切って行く様なミニマル・テクノなのだが、もう飽きましたとばかりにブチっと切れて曲が終わると、また違うシーケンスの反復が始まるといった具合。特に7~8曲目の「Contact 0」からアンビエント風の「Story Of Aurea」への切り替わりは何度聴いてもハッとする。

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04:星野みちる『星がみちる』(ハイ・コントラスト) 
プロデューサーであり作曲編曲家のリチャード・アンソニー・ヒューストンの覆面ユニット、ラー・バンドが放ったヒット曲「Clouds Across The Moon」。そのヒットから10年後の95年8月、電気グルーヴの砂原良徳が自身の初のソロ・アルバムでカヴァーし、クボタタケシが
が作詞、そしてクボタと藤原ヒロシが共同で作曲と編曲を手掛けた、Yuki from O.P.D(当時、大阪パフォーマンス・ドールの武内由紀子のソロ名義)の「夢のWeekend」では大々的にサンプリングされている。もちろん、制作時期や当時の人脈図からみるに、その被りは偶然なのだろう。前者のセンスはトラットリアから、ライナーノーツに砂原、常盤響、小山田圭吾の対談を掲載されたベスト盤が発売され、その文脈でキッチリと消費された。では、アイドルの楽曲と言う事もあってか、さほど話題にならなかった(少なくとも後年まで僕は全く知らなかった)後者のセンスとは一体どこに落とし込まれたのか?  元AKB48の星野みちるをDJのはせはじむ、マイクロスターの佐藤清喜が共同プロデュースした本作こそ、その10数年越しの答えだったのだ──なんてのは言い過ぎだろうか。それはともかく、まさにクラウズ・アクロス・ザ・ムーン歌謡としか言いようがない「私はシェディー」~「オレンジ色」、そして同曲のダブ・マスターXによるダブ・ミックス。そして覆面ユニット、アボジー&ベリジー(正体は戸川純と三宅裕司)の名曲「真空キッス」のカヴァーという3~6曲目の流れが本当に素晴らしい。

03.Danny Brown『Old』(Fool's Gold/ディスクユニオン)
唇の端からヨダレが垂れてそうなダラけたルックス。そして、ラリラリで何を言ってるんだかわからないラップのフロウ。なによりリード曲は「ODB」。そもそも地元デトロイトでハウスDJをやっていたという父親から、ウータン・クランを教えてもらったというのがラッパーになるキッカケということからか、故オル・ダーティー・バスタードの後継は自分であることを強く打ち出したダニー・ブラウンの本作は、UKの「IQが低そうなマッドリブ」ことポール・ホワイト(今、手前勝手に名付けたので真偽は知らない)を中心にしたトラック・メイカー達が繰り出す、ブーンバップはもちろん、サウスやトラップ、果てはグライムまで取り入れたたものの消化不良のまんま排泄した様なトラックに、前述のラリラリなラップでビートの隙間を踏みまくった文字通りのウルトラデカShit。

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02:KOBerrieS♪/流星☆トランジスタ(Kobe-Pop Culture Project)
アイドルとは大人がお膳立てするものである。よねざわやすゆきや古白川誠らが作る情景がすぐに浮かぶような言葉とこことここのコードを抑えとければ絶対だと確信したような作詞・作曲。それをちょうど良い感じのパワーポップ、ハウス、メタル、歌謡ディスコ風にアレンジメントする土井淳。しかし、彼らの仕事はあくまでここまで。なにより重要なのは主役である女の子たちのアイドルらしい清涼感のあるヴォーカルだ。インディーのアイドルには珍しいしっかりとしたミックスとマスタリング。そしてメンバーの住吉郁恵のイラストを配置したアートワークもこの音楽とコンセプト・アルバムとしての完成度を高めている。本作は神戸のローカル・アイドル、コウベリーズのファースト・アルバム。この上なく優れた3分間基準の軽音楽。

01:Kanye West/Yeezus(Def Jam) 
DJのカット・ケミストがヒップホップ視点で、フランスのポスト・パンク〜ノイズ・インダストリアル・バンドであるヴォックス・ポップとパシフィック231を編纂したコンピ『Funk Off』を個人的に2013年の最重要盤の一つだと思っているが、カニエの本作も「超人気コンシャス・ラッパー待望の新作!」というより、そのヒップホップとアヴァンギャルド(主にコラージュと言う方法論を用いた現代音楽や電子音楽を含めた総称として)のつながりとして、捉えた方が正しいのではないかと思う。ラップ/ヒップホップ・ミュージックの名の下、アシッド・ハウス、EDM、ソウル、ディスコ他が融合することなく単なる断片として提示されているような作りだからだ。ちなみにカニエの近作『808's & Heartbreak』や『My Beautiful Dark Twisted Fantasy』は自身が主宰するグッド・ミュージック所属のキッド・カディのアルバム『Man on the Moon』シリーズを下敷きにしてる節があり、本作のインダストリアルでウィッチハウスな錆び沈んだ音響は、一足先に出たカディの『Indicud』(これも良いアルバム)に似ているが、カニエと制作のリック・ルービンはさらに踏み込んでしまった。トラックメイカーであるダフト・パンクもハドソン・モホークもノーIDも88キーズも誰も自分の作ってるものがどうなるかなんて分かってないまま出来上がってた気がする。無色透明のアートワークから想起したということもあるが、これはファウストのファースト・アルバムから強い影響を受けたのではないだろうか。ゲーテ(もしくは手塚治虫)の『ファウスト』と言えば、平たく言ってしまえば、神との賭けから悪魔が一人の人間を誘惑・翻弄していく物語だが、それに無理矢理こじつければ、アルバム・タイトルがイエス・キリストとジーザスを掛け合わせた造語なのも単なる偶然ではないのかもしれない。LL・クール・Jが「I'm Bad」なら、カニエこそ「I'm God」でいいかしら? いいとも!!!(たぶん)

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