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お前はアイドル、だから殺す。

kyi
GGアレンと一緒にやっていた、アートレスのマイケル・ボガードが書いていた、かの『NO NEWYORK』制作時の話。
プロデューサーのブライアン・イーノが、声をかけていたバンドを集めて、ミーティングをしていた。ところが連中はイーノのことをうさんくさく思ってて、なかなか誘いに乗らない。それにめげずイーノは「一緒にやろう」と誘い続ける。そのしつこさに辟易した誰かが「なんであんたはそんなに俺たちとやりたいの?」と訊いたのだ。
するとイーノは紙に円を書き、真ん中に点を打って「これが僕」。そして円の外にも点を打ち「これが君たち」。「僕は君たちとは違う。理解出来ない。だからやりたいんだ」と言ったという。
僕が思い浮かべるNO WAVEとはそういうものだ。なんだかよくわかんない突然変異の音楽。だから、静岡のレコード屋・PERCEPTOが、プンクボイのCD-Rのジャンル名を「NO WAVE」としてくれたのは、なんだかうれしかったものだ。

それはさておき『KILL YOUR IDOLS』はNO WAVEの旧世代と新世代のインタビューやライブ映像をもとに構成したドキュメントである。
数々の証言から垣間みれる新世代と旧世代の絶対に埋まらないであろう断絶。リディア・ランチに童貞を奪われたことを、まんざらでもない顔で告白するティーンエイジ・ジーザス&ザ・ジャークスのメンバー。この上なくマイクスタンドを低くして、かがんで歌うスワンズのマイケル・ギラなど、見所はいろいろあるのだが、先ほどの「円の外にある音楽」という観点で言えば、僕にとっての、この映画の主役は旧世代でも新世代でも、そのパイプ役でもあり曲名をタイトルで引用されているソニック・ユースでもない。この映画の冒頭で自らの音楽を「リッチな音色」と説明しているマーティン・レヴ──すなわちスーサイドだ。
知ってる人は知っての通り、初期のスーサイドの音楽は、壊れたオルガンとリズムボックスで奏でられる。そんなガラクタみたい音を「リッチ」と形容してる時点で、少なくとも当時の彼らは円の外でしか存在し得なかったのだと思う。
その発言に加えて、さらにうれしかったのは70年代後半のスーサイドのライブ映像である。まあ、当時の映像はYOUTUBEでも観られるのだが、こちらの方は緊張感が半端ない。
機材を操作しながらカメラ目線でニヤニヤするマーティン・レヴ。その前を「僕には全く関係がありません」というふうに横切り、マイクスタンドへ向かい、そのまま体を預けるアラン・ヴェガ。ノイジーな電子音とリズム、彼は歌いだす。
「踊りまくろうぜ/トランス状態だ/いい一日だ/頭を殴ってやる/彼らが要求する/金をくれ!と/お前なら持ってる/踊りまくろうぜ/トランス状態だ」
たった数十秒ほどのモノクロの映像に過ぎないんだけど、本当にかっこいいの。特典映像に収録されているソニック・ユースのサーストン・ムーアが「殺されるかと思った」という、当時のスーサイドのライブ・パフォーマンスについての証言も相まって、他のバンドとはまた違った質の不吉な雰囲気が漂っている。

人は何かの音を聴くとき、自分の中に取り込んでから、再確認のため鳴らそうとする。こういうドキュメントが作られたということは、かつてイーノが円の外にあるものとして定義したコントーションズ、DNA、ティーンエイジ~、マーズ他のバンドも、新世代のブラック・ダイスやヤーヤーヤーズも含めて、既に消費され内側にあるということだろう。スーサイドもまた然りで、今の音楽性はハード・テクノみたいになり(それはそれでかっこいいけど)、収まりのいいものになってしまった。別に貶してるわけではなく、それは当然の話だ。それでいい。
でも、ある一時期の現体験し得なかったものとはいえ、消費しきれない塊があった。そのためだけでも、この作品は見る価値はあると思う。
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Author:RECORDer
PRE//SILENTNOISE主宰者。
RECORDer編集長。
ひとりE.A.R.(永遠に丁稚)

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