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SFP 100% BRING YOU!

昨年11月13日の渋谷O-nest。ストラグル・フォー・プライドのライブを観たのは約2年ぶりだった。

活動していることは知っていたが、一時期、ストラグルは諸事情で名前を出せないシークレット・ライブが多く、ボーカルの今里の近況も含めて、共通の友人知人たちの事後情報で知っていたような状態だったからだ。

5Fのラウンジで久しぶりに今里と会い挨拶をする。その日は対バンが(前回ビザ関係のトラブルでドタキャンの)ライトニング・ボルトとギターウルフとあってか、ソールド・アウト。場内は人であふれかえっていた。


僕が初めてストラグルのライブを観たのは、もう、7年近くも前の2003年4月26日、会場は今は亡き西荻窪Watts。ECDとのセッション「SFPECD」名義の出演で、出番はトリだった。それから何十回と聴くこととなる、「♪シャー」という、ギターのフィードバック・ノイズと、ディレイによって変調されたECDのサックスが絡むと、それまで、他のバンドのライブを観たり、友人らしき人たちと談笑していた、アンチコンのTシャツを着た今里が、そのままのニコニコした表情でステージに上がり、あらゆるバンドの壮絶なライブを経たせいで骨の部分がひん曲がって、その役目をどうにかこなしているマイク・スタンドの前に立った。客電が落ちる。

今里はマイクスタンドを自分の傍らにどけると、生声で叫び始める。しかし、その声は各楽器からの音にかき消されて何も聞こえない。ドッタン、ドッタンというドラムが入り、それがドタドタドタとブラストビートへと変わる。客がモッシュとダイブでぐちゃぐちゃになる。危険だと思ったのか、再び客電が点いてフロアを照らす。

そんな暴風雨のような音がやがて一瞬でスパっと止む。すると、今里は照れたようにニコニコして、客に向かって少し会釈すると、ステージを降りて、再び友人と一言二言交わして笑い合う。

sfpecd
SFPECD IN DA "TOXIC PUNK WASTE Vol.61"!!  (pic:筆者)

今にして思えば、「嘘のように美しい」音楽だと思った。


これは最近、今里とメールをしてたときに、サイケデリック・ロックの話になって、僕がそれに対するイメージとして、書いた言葉である。
サイケデリックかはわからないけど。この時のストラグルにもあてはまるような気がするのだ。

時間軸を再び元に戻す。


いったんステージに表れた今里は、その人波をかき分け、後ろのPAか誰かに何事か伝えると、再び人波をかきわけステージへと向かう。今里がステージに再び戻るとシャーというノイズと共に、ドッタンドッタンというバスドラが、会場に重く響き歓声が起こる。それはあのときと同じだけど、今里はもう笑っていなかった。
ブレイク、一瞬の無音。リズムがブラストビートへ転調した刹那、今里はマイクスタンドを掴むと、野球のバットスイングのように観客めがけて振り回したのだ。嬌声とともにモッシュする観客。それをさらに煽りまくる今里がフロアにおりる。以前だったら、どこもかしもから手が伸びて、その体は持ち上げられ、人の群れの上でローリングしたであろう。しかし、その体には誰も触れない。フロアを練り歩きながら、手元のマイクに向かって叫ぶ今里。それをよけるようにして、激しくお互いの体をぶつけ合う客。音楽的に何かが変わったわけではない。しかし、今里およびバンドが醸し出す雰囲気は、以前と全く違うものになっていた。

ライブが終わって、今里と少し話す。
「いやあ、前と比べてなんか締まったというか」。笑いながら「ハードコア・パンクだったでしょ」と今里。「いや、もう、無茶苦茶ハードコア・パンクでした!」と僕も笑う。

とはいえ、僕はハードコアにはあまり詳しくない。そうとされるもので好きなバンドはあるけど、そこの住人ではないと自分では思っている。それを踏まえたうえで言わせてもらえば、あれは間違いなくハードコア・パンクという磁場が生む、冷たく殺伐とした緊張感だった。同時にその名が予想以上にふくれあがったストラグルが、そっちの方向に行く気持ちが理解出来たし、改めて好きになった。


それから何日かやり過ごした後、僕は前に2much crewのメンバーから訊いた、ある話を思い出した。


リップ・クリームが法政大学でライブをやったときのこと。当時、ハードコアのライブにスケーターが来始めた頃で、ライブが始まると、そのスケーターたちがステージに上がってダイブをするのだが、なんとボードに乗ったまま、モニターや壁を利用して、そのままフロアに向かってガンガン飛んでいたのだという。そんなことをすれば危険どころの騒ぎではないわけで、ステージ下は乱闘状態でグチャグチャになっていた。でも、リップはその状況に臆することもなく、むしろ、それを煽るかのような激しい演奏と態度をキープしていたらしい。
その場にいたわけではないから、どこまで事実かはわかんないけど、あの日のストラグルは、その話を訊いたとき、僕が想像したリップ・クリームみたいだった。


<RAW LIFE>の主催者である浜田淳は、そこにいた全員が一斉に暴動を起こしたようなストラグルのライブがあった2005年の同イベントを振り返って、「でも、俺はストラグルのライブがどれだけピースか身をもって知ってたし、やっぱり今里さんはそういうコントロールのことを考えてたと思う」(*)と発言している。その感覚はすごくわかるけど、ストラグルはそこで語られている次元にはもういない。

それは、
昨年立て続けにリリースされたストラグルのミニ・アルバムと、今里=DJ HOLIDAYのミックスCDにも如実に現れている。ファニーな冬野さほのイラストの横に配置された手書きのタイトルは「CUT YOUR THROAT」だし、後者では、表ジャケに愛らしく描かれているバーバパパみたいなキャラが、裏ジャケでは後ろ手で銃を隠し持っているからだ。

自分たちにも受け手に対しても、リミッターをかけないからこそ生まれる、冷たく殺伐とした緊張感。少なくとも、今はそれを楽しめるかどうかで、その人にとってのストラグル・フォー・プライドが決まるのだ。

■引用元
(*
 『STUDIO VOICE』(2005年12月号/インファス)

 
sfpcut holiday
L:STRUGGLE FOR PRIDE『CUT YOUR THROAT]』(felicity cap-78)
R:DJ HOLIDAY『THE MUSIC FROM MY GIRLFRIEND'S CONSOLE STEREO.』(BLACK SMOKER BSMX-18)
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RECORDer編集長。
ひとりE.A.R.(永遠に丁稚)

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