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28年後に鳴った粗雑音

nashi
NASHI
『NO CALL A NAME』
(CRUST WAR CRUST WAR-039)


本作は80年代初頭、大阪で活動していたナシというバンドの82年のライブテープを7インチEPにしたものだ。

高校生のときに学校をサボって行った、新宿の模索舎で『ハード・スタッフ』というミニコミ誌を買ったのは、特集が「関西パンク年表」だったからだ。当時、テクノやそれに準ずるものを中心に聴いていたのだが、一方で昔の日本のインディーズにも興味があり、関西に限っていえば、INU、SS、ほぶらきんは入手しやすいということもあって、よく聴いていた時期だった。特集はすごく面白かった。しかし、本格的にレコードを買うとか、もっと深く知りたいというアクションを起こすことはなかった。

例えば、コラムで紹介された、渡邊浩一郎の追悼盤『まとめてアバヨを云わせてもらうぜ』。マヘル・シャラル・ハシュ・バズを始めとしたオルグ・レコードの作品は、ウルトラ・ビデや工藤冬里の名を知っていても、あまり興味をもてないというか、ハードルの高さを感じた。まあ、高校生だから当たり前といえばそうなんだが、単にそれだけではない。今でもそうかは知らないが、同誌に掲載されていたオルグの広告に「業者・ライターの人は購入お断り」とあったからというのもある。そういうレーベル側の気持ちはわかりつつも選民意識を感じた。とにかく、当時の僕には心の距離が遠かったのだ。

しかし、ここ数年、そのスルーしてた人たち、そしてオルグの主宰者である柴山伸二率いる「渚にて」などの発展形なども含めて、そのすべてではないが好んで聴くようになって、特に先の追悼盤を聴いて(人からもらったCD-Rでだけど)、渡邊浩一郎の音楽家としてのあり方に感銘を受けた今になって思う。大げさかもしれないが、この特集は自分にとっての未来のリスニング・リストみたいなものだったのだ。
「お前、パンクとかアンダーグラウンドとか言ってるけど、俺たちに興味なんかねえだろ。でも、生きてりゃ、そのうち自分から進んで聴くことになるから」

hardstuff 『HARD STUFF』 Vol.11(先鋭疾風社/1993.10.21発行)

ナシを知ったのも、この特集でだった。しかし、それはあくまでイベントの出演者として載っていただけで、解説も何もなかったので、まるで正体不明の存在。今回のリリースを知ったのは、僕がいつもチェックしているレコード屋のHPの入荷情報だったのだが、その紹介文で、ナシがパンク・バンドであったこと、ラフィンノーズ(僕にとってはCOWCOW)以前のPONが参加してたこと、そして、その音楽性が後の関西ハードコア・シーンに影響を与えていたこと、などを初めて知った。

買ってきてレコードをプレイヤーに乗せ、針を落としてみる。ドラムがダダダっと叩くと、そこにギターとベースがそれに合わせて演奏を始める。いかにもラジカセで録音しましたという感じの粗雑な音響が部屋に流れる。グガガガッッガガガ。フェイドアウトしてアームが上がったので、盤をひっくり返して再び針を落とす。ギターがギャーンと鳴る。ドダダダダガガガガ。ミドル・テンポの曲が終わるとアームが上がる。その粗雑音は両面合わせても数分。とにかく、人を殺すようなすごい音を出す、という衝動しかないような、最高にかっこいいパンク・ロック。

ライナーを読む、そこに書かれている通り、ディスチャージの色が強い。でも、結成当初はジャーマン・ロックの影響を受けたアヴァンギャルドなものだったという。ジャーマン・ロックとディスチャージ(D-BEAT)は、ミニマルという点で共通性があるので、それはそれでスジが通ってる気がする。まあ、それはともかくとして、「このレコードをアンバランス・レコード林直人氏に捧げます」という一文を見たとき、本作は、かつてアンバランスから出すために作られたのではないかと思った。

もちろん、そんな計画があったのかはわからないし、そもそもアンバランス・レコードの作品は一枚も持っていないのだが、これを最初に手にしたとき、ほぶらきんの「ゴースンの一生」のオリジナル盤(実はオルセンからのリリースだけど)を持ってる人に見せてもらったときと同じ手触りを感じた。ジャケット・デザインしかり、紙質しかり。まるでフジヤマで見つけたデッドストック盤のようではないか。
本作の制作経緯は知らないけど、あらかじめアンバランスからクラスト・ウォーに託されていたライセンス盤のようにも感じる。

ちなみに前述の『ハードスタッフ』が昨年、その関西パンク号から16年ぶりに出した最新号は、その林直人の特集だ。それはなにか関係しているのだろうか。


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PRE//SILENTNOISE主宰者。
RECORDer編集長。
ひとりE.A.R.(永遠に丁稚)

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