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なんとなく辻褄が合わない音楽

eleegypt.jpg
Electric Egypt
『Impressions Of The Inexpressible Invisible』
(Moamoo/Art Union ARTMOA-012)


ロサンゼルスのネットラジオ、ダブラブ周辺で話題になったという「Kundalini」を収めた、シドニーのエレクトリック・エジプト(EE)のファースト・アルバム。

2月27日土曜日の夜、池袋ベッドの夜。久しぶりに異空間的なものを堪能した。特にECDのライブが終わってから、K-BOMBのライブを挟んで廻していたDJ2人のプレイが本当にすごかった。名前を失礼ながらわからないのだが(一人はBudamunkyのような気がする。あとはDJとしてクレジットされているGatcha、changyuu、GONZ 、Adamsriver、P-Hzの誰か)、ダブ、インスト・ヒップホップ、アンビエント、そしてダブ・ステップ......。月並みな言い方だが、ドープでアブストラクトかつノイジーだった。僕は客層も若かったし、いかにもイケイケなヒップホップですって感じで盛り上がると思っていたのだが(それはそれで好き)、客もそれにひくこともなく、かなりの人がフロアで静かにハマっていた。とにかく、久しぶりにそういう場にいた。

99年か00年頃だったか、カラフト(田中フミヤ)やその弟分であるDJタロウ、DJケンセイ、DJクロックらが、まるで申し合わせでもしたかのように、当時あふれていたハード・ミニマル、ビッグ・ビート、ドラムン・ベースといったダンスものに対してリスニング系とされた、エレクトロニカを一斉にプレイするようになった時のフロアの雰囲気を一瞬思い出したりもしたが、前出のDJが不定形で抽象的なビートに向かったのは、先に挙げたようなダンス・ミュージックとしてのテクノやヒップホップの画一化への反動、という側面が強かったのに対し(かくいう僕もそうだったのだが)、この夜のDJたちは、もっと自然にヒップホップの深化型のダンス・ミュージックとして、それらをプレイしていた。そして、このEEの存在もその延長線上にあるものだと思う。

本作が置かれていたレコード屋のポップには「J・ディラの影響で」とあり、ルーツとして「サン・ラーや70年代のマイルス・デイヴィス」の名が。ライナーノーツにはドン・チェリーも付け加えられている。永遠に続くかのようなミニマルで野蛮なリズムのループであり、様々な要素が重ねられることによって生まれた不協和音であり、それらにかけられたエフェクトは、昔のサイケデリック・ロックを思わせる。かつ、時間軸を壊すように曲感に挿入される、コラージュ感バリバリのスキットを視覚化したような、本人制作のジャケットは、まるで横尾忠則がデザインしたマイルスの『アガルタ』のようであり、エジプトつながりで譬えるならば、同じく横尾が制作したドラマ『ムー』のオープニングタイトル(荒木一郎の劇伴も含め)のようでもある。



──と、まあ、あらかじめ用意されている記号通りに書けば、そういうことになるが、EEの音の魅力は何よりも、あの夜にDJがプレイしていた音と共振する空気感にある。前出のサン・ラー以下の共通点とは「なんとなく辻褄が合わない音楽」をやっている人たちだと個人的には思っているのだが、EEはその「辻褄の合わなさ」の辻褄を合わすこともなく、そのまんまフリーキーなものとして差し出した。繰り返し書くが、それは確実にヒップホップのなれの果てのひとつなのだ。こういうこと書いて終えるのは恥ずかしいけど、個人的にヒップホップ好きなんだよ、たぶん。
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