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2011印象に残った20枚(誰にも頼まれてないのにDX Edition)

20.WOLFGANG VOIGT『Kafkatrax』(Profan)
マイク・インクことウォルフガング・ヴォイトが12インチで出していた同名シリーズをコンパイルしたもの。まあ、タイトルが示すようにカフカの作品の朗読音声をチョップして、削り落として骨だけにしたようなハウス・ビートがくっつけてるだけ。
カフカの小説を使ってると言うと、どこかインテリっぽい匂いがするけど、いざ出来上がったらグリーン・ヴェルヴェットの「Porutamento Trax」でした、みたいなバカさを感じる。そういう意味で言えば、アルマンドの"Land of Confusion"を下敷きにしたラヴ・インク名義の「New Jack City」で衝撃を与えてから、紆余曲折はありながらも基本は全然変わってないんだなと思わせる代物でうれしくなってくる。
今、本名で出すのはハードコアからそのキャリアを始め、クリックハウスの祖となった過去と決別するという意味もあるのかもしれないが、この場を借りて言う。人間はそうそう「かつて」を断ち切れない。何をしようとも、お前は一生マイク・インク!

19.WIZ KHALIFA『Rolling Papers』(Atlantic/ワーナー)
カレンシーやスモークDZAを教えてもらって聴き始めた頃に、同じくストーナーラップの代表格と騒がれてたのを知らずに、店頭で試聴してよかったので買っ た一枚。今から思えば、M9の「とにかく時間も金もパーティーに捧げろ!吸え!ハイになれ!ぶっ飛べ」みたいなことをラップする"No Sleep"が僕の知覚の扉を開けてくれたのだと思う。何の知かは知らないが、とにかく娯楽の塊。そこらへんにある適当な紙と葉っぱを巻いて浸ってみたい一枚。

18.URSULA BOGNER『Sonne=Blackbox』(Faitiche)
「芸術家は作品を残すんですね。それは謎を残すということなんです」
 従兄弟は言った。
「本当は謎などないかもしれないんです。でも後の人が必ずそこに謎を探ろうとするんです」
「………」
 やがて、電車がきた。ホームに出て乗り込んだ。ドアが閉まって走りだした。ホームから歩き去る従兄弟の姿がパリの郊外の夕闇に溶け込んでいった。人が作る作品がある。それと同時に人それぞれが否応なく生み出すその人間の人生という作品がある。それこそが最大の謎を含んだ芸術なのだ。柄にもなくそのようなことを考えながらがらんとした車内にしばらく立っていた。
(山下洋輔『ドバラダ門』新潮文庫より引用)

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17.DANNY BROWN『XXX』(*Mixtape/Fool's Gold)
ミクステ新規参入者としてはツイッターやダットピフあたりを参考にして落としてただけで、そんな言うほど知りもしないわけですが、このダニー・ブラウンのミクステはそこらへんの高評価で落としたものなのだが、とにかくポール・ホワイトがトラックメイクしたM12の「Adderall Admiral」。もう、これしかないんです! 
イントロ~ヴァース~フックに、(キミドリやイリシットツボイのネタで知られる)ディス・ヒートの"Horizontal Hold"と、ホークウインドの"You Know You'Re Only Dreaming"(←ツイッター経由で白石隆之さんに教えてもらった)の細切れたようなループが交互に継ぎ接ぎされてるだけ。それだけでラップしてる。ブックオフの文庫本コーナーで、この曲がイヤホンから流れたとき、あまりのあまりさに背筋のびすぎちゃってエビぞってしまったもの(完全不審者)。
とにかく、肉を切り落としたあと、余った部位の肉をつなぎあわせて作った精製肉ステーキみたいなジャンクさに、ヒップホップの真髄を見たのだった。

16.DJ DIAMOND『Flight Musik』(Planet Mu)

久しぶりに聴いて興奮したマシーンドラムのアルバムとどっちにしようか迷ったけど、いびつさでこちらに。ジュークに関しては前に書いたから繰り返さない。ただ、そのメンタリティはハウスとヒップホップなのだとしたら、ダイアモンドの単独作は、その二つの要素が隙間から電子音の汁が滲み出ている感じでやたらテクノっぽい。ジャケのアートワークでシカゴの町並みが歪んでいるのはダテじゃないかも。特にM14の"Snare Fanfare"はその題通りの曲だが、恐ろしく有毒な汁が出ております。

15.AIR BOURYOKU CLUB『ABC』(Vlutent)

VoloとPizによるエアーギャングスタラップ。そのアイデアも面白いんだけど、とにかくトラックがすごい。いいとか悪いとかそういうのではなく、低音で部屋の壁が歪むのである。まあスピーカーの位置を変えろって話なんだろうけど、ヒップホップって、そもそもマイアミベースとかああいう極端な形まで行かなくとも、サウス系とかそれありきじゃないですか。本人たちもそれを意識してると思うんだけど、CDをかけてる間、部屋がずっとミシミシいってるわけで、ここまで来るとハフラートリオとかああいう「音で人をどうにかしちゃいますよ」系に近いのである。もしかしたらサグって感覚はこういうこと? まさしく空気が振動して伝わる音と言葉の暴力実験音響。

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14.THE COOL KIDS『When Fish Ride Bicycles』(Green Label Sound)
3年ぐらい前にかのXLからデビューしていたらしい2人組。808(実機ではないような気も)を中心にサンプルやシーケンスをボコンボコン鳴らしたような ミドルスクールな作りで派手さはないが、とにかく個人的にはツボで、片割れのサー・マイケル・ロックスのミックステープ共々よく聴いてた。ネプチューンズ のファレル・ウィリアムスによるプロデュースのラスト曲"Summer Jam"は「腐っても鯛は鯛!」と思わせるレイドバック系名曲。

13.東京女子流「Limited Addiction」(エイベックス)

平均年齢13.8歳の女の子たちの舌っ足らずな歌声に絡むは、粘っこいカッティングギターがドス黒さを際立たせるアーバン・ファンク。プロデューサーの松井寛はもともとMISIAとかやってた人らしいが、今んとこの最新EP「Liar」ではシックの"Good Times"やオリビア・ニュートンジョンの"Physical"など、僕でもわかるようなディスコの大ネタを下敷きにやりたい放題なのだ。
ところで、前にも書いたことの繰り返しになるが、アイドルが歌うもの、つまり歌謡曲/ポップスって贅沢であって欲しいのである。抽象的な概念でしかないんだけど。音の豊かさというのか、それを聴きたいのである。
歌い手がいる。その声がある。それを前提に作られる詞と曲。そしてアレンジ、ミックスダウンされて、世に出て行く。その上で出来たものだったらどのジャンルに近いか、なんてどうでもいい。その妙味こそが豊かさなのだと思うから。女子流および松井が素晴らしいのは、その法則に忠実なところだ。忠実な上での「やりたい放題」なのである。
もちろん、それが正しいってわけではないし、破壊したうえの面白さがあるってのもわかる。このジャンルは昔と違って、裏の人の評価も込みになっていて、それはそれでいいことだとは思うんだが、持てはやされるものって言うのが、当の歌い手を差し置いて自分の評価を上げたいだけの奴らが作ったような曲ばっかのような気がするのである。
でも、こちらとしてはあくまでそのアイドルの曲が聴きたいのだ。そんなに転調やらエディットやらで、ヤバさとやらを自慢したいんならニコ動に戻ってやりなさいよ、と誰に言うでもなく、ただただ一人思うのだった。

12.KANYE WEST &JAY-Z『Watch The Throne』(Rock-A-Fella/ユニヴァーサル)

カニエとジェイ、ヒップホップ界の大物2人によるコラボ……といったら、もっと出来るはずと思われたのか、一部では不評だった模様。でもホテルのワンフロアを借り切ってレコーディングするという、金のかかったガレージパンクみたいなバカバカしさが象徴するように、それこそなんとなくサンプルをつなぎあわせて出来ちゃいましたと言わんばかりの荒削りな音の作りも、昨今のミックステープラッパーたちのトラックを意識してるようなところもあるし、リード曲の"Otis"のタイトルだってオーティス・レディングをサンプリングしてるから、っていう二人だけの符号をそのまんま付けちゃっただけという気が。大人が余裕もって遊んでる感じがよかった。

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11.ISSUE『The E3』(*Mixtape)

まずはリズムありき、とスリッツが言うのであれば、イシューの場合はビートありきと言えるでしょう。In the Beginning, There Was Beats。ただ、付け加えるならば、それは他人の楽曲でも全く構いません。なぜならばヒップホップとはことの成り立ちからそうであって、自分で作ったからというだけで、いけしゃあしゃあと訴えるバカがいない限り、さらにバカのフリしてジャックしてジャックしてジャックしまくりゃあいいのです。自分以外の誰か、例えばボーズ・オブ・カナダやエイフェックス・ツインといった他人が作った曲も、自分がラップすれば自分のものですし、自分が他人の楽曲の一部を拝借してループして作ったビートも、違う奴がラップしたとしたら、それはもうそいつのものなのです。もはや自分が他人も関係ありません。そしてEというミックステープシリーズは大概にしてそういう了見で作られてます。──以上、この文は筆者の推測と偏見に基づき書かれました

10.V.A.『Invitation Of The Mysteron Killer Sounds』(Soul Jazz)

我らが触媒音楽家、ケヴィン・マーティンとソウルジャズのスチュアート・ベイカーが監修した、デジタル・ダンスホール2枚組コンピ。フリーソフトで作ったようなポコポンとしたチープな音の群れを、前者は自らのザ・バグ名義の新曲も入れ込んだルーツ寄りの選曲で。後者はインスト中心のミニマルを中心にした印象。これはジュークにも言えることだが、とにかくアーティスト的な自我と曲の関係がクールなのである。もちろん、各々の個性や自己主張はあるのだと思うが、曲が出来てどういう形であれ他人に曲が渡って、それがサウンドシステム(もちろん普通のオーディオ含む)を振動させたら「わしゃ、もうシランもんね」という、谷岡ヤスジ的投げっぱなし感。個々の曲がどうというより、そこにやられてました。

09.MAC MILLER『Blue Slide Park』(Rostrum)
これを聴いたときに、真心ブラザーズのYO-KINGがエレファント・ラブというラップグループをやってたときに「なんで自分の周りは楽しいことばかりなのに、わざわざ悲しいことや暗いことをラップしなきゃいけないんだ」みたいな発言をしていたのを思い出した。特に45キングの名曲"900 Number"をサンプリングした(クレジットはその元ネタになってる)"Party On Fifth Ave "とか、ファットボーイ・スリムみたいな"Up All Night"。「ここにいる奴らは全員拍手しろ」という"Man In The Hat"とか。まあ、これはああだこうだ言うより、聴いてる方が楽しい。クラムス・カジノ、ヤングLもトラックメイクで参加。

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08.DEMDIKE STARE『Trypitch』(Modern Love/オクターヴ・ラボ)

UGマンのベスト盤に入ってるライブDVDの中で、当時のボーカルだった河南有治は、デビューライブの時に対バンのジャッキー&ザ・セドリックスの人から「SSTのどうでもいいバンドみたいだな」と言われてうれしかったとMCで語っている。
だとしたら、僕にとってのデムダイク・ステアは「ミル・プラトーから出してたどうでもいい人たち」なんではないかと思う。特にフォースインクのフロア路線の反動として機能していた初期のなんだかわからない宙ぶらりんなもんを出してた頃の。デムダイクもまた、なんでこんなの聴いてるんだろうと思い馳せたくなる、後ろ暗いミニマル・ダブ・ドローンで個人的には共通するんですよ。
本作は2010年に出していた12インチシリーズにボーナストラックをプラスした編集盤。そのドヨ~ンとした行き場のない音をそのまんま具現化したような、ファインダース・キーパーズ主宰のアンディ・ヴォーテルによるアートワークも素晴らしい。しかし、SSTはともかく、ミル・プラトーを引き合いに出すなんて、我ながら救いがないような……。いや、ほんとにいいんだってばさ!

07.G-SIDE『Island』(*Mixtape/Pヴァイン)

今年はいつにも増して面白いからという理由だけでヒップホップばっか聴いてたわけですが、厳密に言えばクラウド・ラップ的な流れを追うようになっただけなのかなと。メイン・アトラクションズとかエイサップ・ロッキー。あとクラムス・カジノやフレンドゾーンのプロデュース曲とか。まあ、きっちり追うわけでもないから、大体そんなもんだけど。
このGサイドもその流れで知ったのだが、STレタズとヤング・クローヴァによるラップ、ブロック・ビータズらが作り出す音は、チルアウトな音にも、知らず知らず浮き出てしまう妙な泥臭さがある。実はこの人たち、99年に結成されたベテランで南部のアラバマ州出身ということもあって、その泥臭さの正体とはGファンクの影響なのではないかと。美しさと泥臭さを同時に聴いてた。

06.BRUTAL TRUTH『End Time』(Relapse)
例えばリル・ウェインの新譜を楽しみにする、というのは自分でもどうかと思うがまだいい。まだヒップホップはなんとなく自分の中に入ってたものだから。でも、ブルータル・トゥルースは……。
まあ、もともとサン・ラーのカバーをしてるようなバンドで、それが入ってるアルバムと1stはなぜか持ってたものの、恥ずかしながら再結成したことさえ知らなかった。再結成ものって大体においてオリジナルを越えられないじゃないですか。むしろ往時を求めるおっさんを喜ばせてナンボみたいな。ゆるいお祭りですわな。でも、ブルータルの場合、本気も本気、大本気。しかも再結成後の方が遥かにいいのだ。
このテのジャンルは詳しくないけど、ドラムのキメがバッキバキ決まるグラインド・ロック(あえて~コアは使わない)を軸にギャアギャア音を散らしながらも、まるで自分たちの音楽履歴を示すかのようなディスチャージやS.O.B.のカバー。そして10分を越える必然性があるのかもわからないフリーインプロヴィゼーション。もはや、これしかない!(2回目) 一音聴いただけでビビリまくる一枚。

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05.ERA『3 Words In My Mind』(WD Sound)
どこかのサイトでウィズ・カリファやカレンシーを引き合いに出した紹介文を読んで、へえ~てな感じで買った一枚。それから数ヶ月、ずっと"Space Colony"のフック「♪何かが起こったあの夜 水の中浮いてたよ 吐く空気 解けない数値 頭の中あのことで夢中に」がずっと頭の中でループしている。
別にこれだけで何かハッキリとしたものを指し示すわけではない。ただ、なにか個人的な情感に訴えかけてくるフレーズなのだ。
この曲に限らず、エラの詞は平易な言葉を用いて綴られている。タイトルの3Wordsはパンクの3コード、そして色の三原則を思い浮かべる。つまり最低限の要素から織りなすもので、自分の世界はかたち作られているということ。前述の曲を提供したゴルビー・サウンドを始めとしたトラックメイカー。またイリシット・ツボイのミキシングも、そのシンプルな魅力を高めてると思う。あ、マスホールによるリミックス盤もエラのラップに違う色の付け方をしていて素晴らしかったですね(さっき聴いた)。

04.THE ROOTS『Undun』(Def Jam)

このCDは最初にウチのジャンクオーディオシステムではなく、年上の友人のちゃんとしたスピーカー上で再生された。最初「ピー」という音が鳴り出したので、「えっ、壊れた?」と訊いたら、「そういう音なんだろ?」と言って、次の曲にスキップする。するとドゥーンというベースと共にパーカッションが鳴って、ドン!というバスドラが鳴り、次のドン!が鳴ろうとする刹那、唐突に停止ボタンが押され音は止んだ。「これ買うわ」。全くだ、是非そうしてくれたまえ。
前作にも感じたことだが、ルーツの音は生演奏とは思えないくらい、どんどんタイトになっている。もちろん昨今のヒップホップのプロダクションに流行りに合わせてるというのもあるのだろうし、ドラマーのクエストラヴが音作りの主導権を握ってるというのもあるけど、それ以上にブーンとドン!という点をより際立たせるためではないだろうか。

03.やくしまるえつこメトロオーケストラ「ノルニル/少年よ我に帰れ」(スターチャイルド)
人として存在したモノが、世界から不必要とされ壊されて破片となっていく──アニメ『輪るピングドラム』の主題歌であり、ティカα=やくしまるが作詞作曲プロデュースを手がけた本作に収められた2曲は、まるで、その不必要な破片を再びかき集めて、組み直したかのようである。
いや、それぞれの曲の江藤直子と近藤研二のアレンジが秀逸だからそう思えるだけで、実はやくしまるは「組み」「直す」気なんてさらさらなかったような気がする。イントロ→Aメロ→サビという最低限の構造は守ってるけど、フルで聴くと思いついたフレーズをなんとなくただ並べてくっつけただけのような気もするのだ。女子流のところで書いた、歌謡曲の定理に則って「いやあ、いい曲だねえ」とすることも、アニソンだからと言って「電波系でヤバいね」みたいなものにも落とし込めない。
ピンドラの監督の幾原邦彦はかつて『少女革命ウテナ』でJ.A.シーザーの楽曲をフィーチャーさせた人で、"少年~"の歌詞に「万有引力」というフレーズがある。もちろん劇中のリンゴに引っ掛けてるだけだと思うが、それが単なる偶然とは思えないぐらいに、シーザーが天井桟敷や寺山映画に提供したプログレやハードロック風の劇伴。もしくは同好の士が周りにいなくて、宅録で全パートを一人でシコシコ弾いて重ねてるようなワンマン・ブラック・メタル・バンドが生み出すズレや歪みと同質のモノをそこに感じたのだ。
とにかく、やくしまるはバラバラの破片をかき集め、元の人としてではなく、形を為さないなにかを作り上げてしまったのだった。
あらゆるものが点として存在している。それを線を引いて結びつけていく最中。永遠に交わらないかもしれないけど、でも、やるんだよ。革命前夜のポップミュージック。思わせぶりなことしか書けないが、これは褒めても褒め足りないよ。

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02 DRAKE『Take Care』(Cashmoney/ユニヴァーサル)

最初は日本盤で買うつもりだった。でも我慢出来なくて試聴機で再生したのが運の尽き。M1の"Over My Dead Body"を聴いたとき、反射的に輸入盤を持ってレジに向かっていたのだった。イントロのピアノだけで自分の死体の向こう側(*追記:
今、調べてみたら「自分の目の黒いうちは」という意味だった。やっぱ日本盤買わなきゃダメだな)へ心が持っていかれたんだからしょうがない。
とにかくシレっとしてる。余裕がある。こんなの作っちゃったんだから、リークされてもOK。聴いたアンタらがそう思うんなら、どうとってもらってもいいんだよという寛容さがある。
ルーツがブーンとドン!だとしたら、本作の点は一音一音の間でかすかに鳴る静謐な響きにあるのだと思う。その間にドレイクの声が乗る。それさえあれば、あとはなにやってもいいんだと思う。極端な話、それがR&Bやヒップホップと呼ばれるものである必要もない。だって、これなんでもない音楽でしょう。感動は常に空しく虚ろ。discogsのタグに習えばNON MUSIC枠。ドレイクやメインプロデューサーのノア40を始めとした製作陣がどう思ってるかは知らないが、実は本作自体がもうそうなってしまってるのでは? だって、それを発見しちゃったんだから。まごうことなき傑作。

01 TYLER THE CREATOR『Goblin』(XL/ホステス)
もういいでしょ、語り尽くされたでしょ。と自分でも思うのだが、とにかくYou Hate Me & I Hate You、バイGGアレン。お前ら全員ぶっ殺してやる!的なリリックの内容はもちろん、自身がロジックで作った、ペナペナしたシンセ音に焦燥気味につんのめって入るビート。音の全体的なバランスが狂ってるようにも聞こえる、オッド・フューチャーのDJでジ・インターネットのシド・ザ・キッド(最近まで男だと思ってた)によるミックスもまた然り。僕は最初ユーチューブ経由でリード曲の"Yonkers"を聴いた時、これテクノじゃん、と思ったのである。
例えばダニエル・ベルが最初SH101とTR909をそれぞれスピーカーの左右に割り振って、アンプでバランスを調整しながら音作りにいそしんでたことや、ミネアポリスのアナログやドロップ・ベースといったレーベルから出ていたフレディ・フレッシュやDJ ESPことウッディ・マクブライドなど、とりあえず303と909だけで作る粗雑さだけが前面に押し出されたハードアシッドサウンドとか。いや、具体的な音がどうというのではなくて、チープさが生み出す凶暴さが共通してると思うのだ。
本作よりいい音楽なんていっぱいある。タイラーより出来るラッパーやトラックメイカーなんて有名無名限らずごまんといると思う。でも、そこじゃないんだよ、と言いたい。足りなくてもいい、狂っててもいい、間違っててもOK。だって自分は自分でしかないから。そう感覚に訴えかけてくるものを聴きたいんだよ! 今回、選んだものは点としてはあっちゃこっちゃ散在してるけど、そこで結びつけられるわけです。
改めてそう思わせてくれた、タイラーおよびオッドフューチャーにありったけの愛と憎悪を。

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21.LIL B『I'm Gay-I'm Happy-』(*Mixtape)
22.エリオをかまってちゃん「Os-宇宙人」(キング)
23.MACHINEDRUM『Room(S)』(Planet Mu/メルティングポット)
24.ECD 『Ten Years After-LP Version-』(Finaljunky/Jetset)
25.ZOUO『A Roar Agitating Violent Age』(Crust War)
26.SHABAZZ PALACES『Black Up』(Sub Pop/Pヴァイン)
27.HIROSHI FUJIWARA PRESENTS STUDIO66『In Dub With Luv』(Tune Vakery)
28.WEEKND『House Of Balloons』(*Mixtape)
29.
根本敬『愛液(駅)』(Black Smoker)
30.GHOSTFACE KILLAH『Apollo Kids』(Def Jam)
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RECORDer編集長。
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