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初めて「他人にいじられない」ゴンジャスフィが生み出したものとは?

とりあえずの「一服」──ターンテーブルにはお気に入りのサイケデリック・ロックやアシッド・フォークのオリジナル・プレスのレコードが乗せられている。その縁に針を落とすとスクラッチ・ノイズとともに、あらかじめ針に刻まれた信号が音楽として鳴る。しかし、それは単にストーンするためのBGMではない。ターンテーブルから伸びたケーブルはサンプラーに繋がれており、曲のグッと来る箇所に針を落としながら音を取り込み、その断片を適当にチョップし、いくつかのループを作る。部屋は煙だらけ。そしてマイクスタンドにだらしなく体を預けながら、その継ぎ接ぎだらけのトラックをバックに歌いラップする。が、それさえもエフェクトがかけられ、まるで老人がなにか意味不明なことをとりとめも無く呟いているようにも聴こえる。

ゴンジャスフィ自らプロデュースした本作は、例え実際の制作方法とは違っていたとはしても、そうとでも思ってないとやってられないくらい毒々しい。言ってしまえば、前作のフライング・ロータスとガスランプ・キラーのプロデュース・ワークや、そしてマーク・プリチャード、ビビオ、オネオトリックス・ポイント・ネヴァーらが参加したリミックス盤は、ゴンジャスフィが作る音の輪郭をはっきりさせることでしかなかった、と今からして思う。
リー・ペリーが音楽に精霊を宿らせるため、ミキサーなどのスタジオ機材に自分が吸ったマリファナの煙を吹き込んでいたという有名な話があるが、それと同じことをやっていたとしてもおかしくはない。音楽とは常に曖昧に鳴らされるべきだ。本作にはゴンジャスフィの先天的曖昧さが煙のように辺り一面に漂ってるようである。

そういう意味で一番近いのは、シンク・タンク~ザ・レフティーのケイボン(K-BOMB)かもしれない。こないだ、レフティーのライブ(11年12月18日/埼玉県立近代美術館)を初めて観たのだが、彼のMPCはインプロのようなフリーキーな音を発しながらも、叩かれてるパッドは、相方のユゲのパーカッションにも、途中参加した伊東篤宏や山川冬樹とも、ちゃんと繋がっている気さえした。即興のセッションなのだが、サンプラーをメインに同期コントロールされた、調和的にも思える「音楽」をその場に放っていたのである。
ついでに言えば、BDの最新作『Illson』(Pヴァイン)に提供したトラックもまた然り。シンクタンクやソロで見せるコラージュ的な組み立て方ではなく、あえて2小節のループのシーケンスだけでグイグイ押していくような、ヒップホップならではのトラックメイキングである。小器用というよりも、常に彼の外部への好奇心が現れてると言えよう。

しかし、ケイボンからゴンジャスフィに繋がれても、その逆は無いような気がする。なぜなら、ゴンジャスフィのサンプラーは外部から入力はあっても、出力されたラインは他の誰かには対等に繋がることは出来ないような気がするのだ。もちろん、それは想像でしかないし、そのどちらがいいとか悪いではない。ゴンジャスフィは特性で手前勝手によじれていくから、単独でチープに音を鳴らすしか能がないとも言える。
実は本作の前にプロモ的に出たフリーダウンロードの「The Ninth Inning EP」には、同じLA出身のブルー(Blu)がフィーチャーされたラップの曲があるんだけど、よく調べたら、トラックはブルーとメインフレームのユニット、ジョンソン&ジョンソン制作で、ゴンジャスフィはただ呻いてるだけ(に聴こえる)。「お前は一体何を考えてるんだ?」と言いたくなるが、実はゴンジャスフィの魅力とはそこなのだ。

天国か地獄か。正気か狂気か。チルアウトか死か。何を考えてるのか自分でも一切わからない。それは音楽と同化させるために「サイケデリックかつアシッドなる概念」をシャブり尽くし、結果として自らの創出したものに対して為す術を無くしてしまったようなシド・バレットやロッキー・エリクソンと共通するものである。
いや、そこまでは言い過ぎか。もっといい加減に作られた音楽のような気もするし。と、まあそんな風に白い木綿のシーツに包まってあれこれ想い巡らす。初めて「他人にいじられない」ゴンジャスフィが生み出したものは、少なくとも一人の男を惑わせるほどなっちゃいないものなのである。

gonja2.jpg
GONJASUFI
Me.Zz.Le
(Warp WARPCD223/ビート BRWP223)


2011年のライブ。バンド編成のせいか、いまいち所在無く感じるのは気のせい?
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