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テープ特有のヒスノイズの向こうからボヤーっと聴こえる音像

10年以上前の新宿リキッドルーム。ジェフ・ミルズの来日イベントの際、故DJクロックから引き継いだ白石隆之がしょっぱなにかけたのはブルー・ハーブの”時代は変わる”だった……という話は、このブログを始めた当初に書いたような気がするが、ともかく高校生のとき結成したポスト・パンク・バンド、BGMから始まり、デトロイト通過後のインテリジェント・テクノ~アブストラクトなブレイクビーツ~ビートダウンなハウスと(形容は適当。詳しくは自身の曲を再構築したミックスアルバム『Time 6328』で)、時代は変わるとばかりに、その折々でスタイルを変えていった、白石隆之の久々の作品はそれを反映してかは知らないが、カセット・リリースのアンビエント作品である。

しかし、いざ本作を聴いてみると、テープ特有のヒスノイズの向こうから、タイトル通りボヤーっと聴こえる音像は、単にシーケンサーを軸にシンセサイザーとドラムマシンを鳴らしたり、ソフトウェアを駆使して作ったものではない。本人によるライナーノーツからも垣間みれるが、元来の環境音楽ともチルアウトとも違ったフリーキーなものなのだ。例えば「ドラムが暴れている或るフリージャズの盤を擦り、それを元に組み立てた」というB3の"Banging The Wall"なんて、ホワイトハウスやナース・ウィズ・ウーンドのように、音の断片を感覚だけで継ぎ接いだような狂躁的なノイズ/コラージュの印象さえ受ける。

しかし、アンビエントというものが、送り手だけではなく聴き手の解釈をも含めた共犯関係ありきのものだとしたら、僕はこの曲とキャプションから、99年に殺害されたラッパー、ビッグ・Lの未発表曲集『Return of the Devil's Son』(SMC Recordings/2010)に入っていた曲を思い出す。DJが2枚使いし、その上でフリースタイルしたのを一発録りしたものなのだが、DJがフェイダーを切る時の音まで拾ってしまっており、カセット録音と思われる音質も相まって、この計らずも混入したしまったチャカチャカという音こそアンビエントではないか? と気を迷わせてしまうだけの倒錯性がそこにあるからだ。

まあ、同じ即興的であるとはいえ、"Banging The Wall"はビッグ・Lの曲とは逆で、ターンテーブルの針が拾った音そのものを主としているが、白石が本作でアンビエントという概念のもとカセットに録音したのは音だけではなく、その倒錯的な感覚なのではないだろうか。それは前述の「その折々でスタイルを変えていった」というという姿勢にも通ずる。常に白石は他人が作る音にその倒錯の魅力を感じてきたのだ。それゆえの音楽性の変遷だったのだと思う。

僕の記憶はリキッドルームのステージ上のDJブースに現れた、サングラスをかけたヤサ男風の白石のぼんやりとした記憶に再び遡る。時代は変わる、ただただなんとなく。しかし、その中で手足をジタバタしている人間そのものはそうは変わらないのかもしれない。

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TAKAYUKI SHIRAISHI
Ghost Tracks
(Duenn dnn-03)



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