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You Jack Me & I Jack You...剽窃の果てに

トラックスマン。その名を聴いてニヤリと、中には爆笑した者さえいたはずだ。なぜならば、90年代、ゲットーハウスがブイブイいわせた頃の代表的なレーベル、ダンス・マニアの中軸を為していた、ロバート・アルマーニ、ポール・ジョンソン、エリック・マーティン、DJギャントマンらが組んだプロデューサー・チーム、トラックスメンをただ単数形にしただけだから。

そのトラックスマンことコーネリアス・フェルグソンは41歳という年齢からもわかるように、90年代から活動するDJ/トラックメイカーで、ダンス・マニアからもリリースがあるらしいのだが、トラックスメンのメンバーだったことはないという。じゃあ、単なる偽者じゃねえかと思う事なかれ。日本盤ライナー掲載のD.J エイプリルによるインタビューによると、16~17歳のとき、ミュージックボックスでのロン・ハーディーのDJプレイを体験。以来、シカゴ・ハウスのシーンの紆余曲折を見てきた生き証人的な存在であるようだ。それゆえに本作は単に「ジュークの代表的アーティストが放った待望のアルバム」にとどまっていない。ここにあるのはタイトル通りトラックスマンの精神。それは「TRAXに生き、TRAXに死ぬということ」ということではないだろうか。

ここで言うTRAXとは、同名のシカゴ・ハウスの先駆的レーベルを指すのではない。シカゴのダンスミュージックの一つの型である「You Jack Me & I Jack You」であるということを指す。つまりは他人のモノを盗み、自分のモノにしちまうってこと。剽窃こそ真のオリジナル、文句あるんやったらここ来たら? 何の因果かその名を背負った男は、自らの様々な音楽体験と記憶のもと、ソウル、ラテン、ジャズ、ディスコ、果てはガムランやクラフトワークまでをも無手勝流にジャックし、不定形なビートにそれをハメ込んでみせる。

その中でも個人的にお気に入りなのが、日本盤ボーナストラックのM-7"Da Falllll"。(あえて言い過ぎるならば)50年代のシュトックハウゼンみたいな狂った電子音を軸に展開する曲なのだが、DJピエールと仲間たちが二束三文で手に入れたTB-303をいじって遊んでいるうちに出来た"Acid Tracks"のアクシデント性と同じものを感じる。DJラシャドの"Reverb"とともに、シカゴのダンスミュージックの歴史性をキチンと踏まえたながらも、その約束事から無意識に逸脱した最前衛の「TRAX」なのだ。

思いつくまま書き連ねたが、もちろん、本作を楽しむのにそうしたシカゴのダンスミュージックの歴史のあれこれを知る必要はない。基本的にジュークなんてというものはフットワーク・ダンサーたちが集う、その場の「効き」しか保証してない。いや、そもそもダンス・ミュージック自体が現在進行形の「効き」でしかないのだ。だから感覚的に面白いかつまらないかだけでいいと思う。しかし、本作のタイトルは『Da Mind Of Traxman』、前述したようにトラックスマンの精神。というわけで、ここでもう一度復唱したい。

「TRAXに生き、TRAXに死ぬということ」
そして、その道はここにありと見つけたり。

traxman.jpg
TRAXMAN
Da Mind Of Traxman
(Planet Mu/Meltingbot)



トラックスマンのもう一つの魅力はそのDJ。本作の特典ミックスCDや本人のサウンドクラウドでそれは楽しめるが、やはりナマで観たい!
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